経営戦略の立案を成功させる4つのプロセスとは?投資対効果を前提に考える

ビジネス・フレームワーク

今回は、企業の事業全体を考える戦略=経営戦略について解説します。

事業計画は事業目標、事業戦略、事業戦術を人・もの・金・情報の全ての経営資源の面から述べられた目標を達成するための具体的な計画です。

事業の目標、戦略が決まったら具体的な実施計画を考えこれをまとめて、企業内の全ての人と共有することが事業遂行において必要です。

あってはならないことなのですが、ときどき事業計画書のための計画づくりというものを目にします。

計画は実際に実行されるもの、実際の事業の成功に役立つものでなくてはならず、実行されないもの、書類だけあって知る必要のある人が見もしないものでは何の役にも立ちません。

事業計画書の内容も必要なことが簡潔に記述されているものであるべきです。

経営戦略立案のフレームワークとは?

事業戦略とは、どのようなことをどういうプロセスで考えればよいのでしょうか。

基本的には、それが事業の成功に有効なものであればどのようなものでもかまいません。

ただ、成功した多くの企業の戦略や、戦略の立案プロセスを見てみますと、以下のことが成功の要因として抽出できます。

事業戦略として考える4つのプロセス

(1)事業ビジョン(将来こうなりたいという姿)を創る。

(2)事業の目的・事業分野・ 事業目標を設定する。

(3)事業をどのように成長させるかという事業成長戦略を立案する。

(4)どの事業分野は投資してどの事業分野は投資を抑制する、あるいはやめることによりリソースの投資を有効活用し、フォーカス分野を明確にして事業の成長を図る。といった、事業ポートフォリオ戦略を立案する。

(1)事業ビジョン(将来こうなりたいという姿)を創る

事業戦略を考える場合、企業でも個人においても、将来こうなりたいという明確なビジョンを持つことが大切です。

これを持っているか持っていないかで、3年後、5年後に大きな差となります。

ビジョンはビジネス・マネージャ、経営者の夢を語るような魅力的で企業の構成員が共感し、組織として共有されるものであるべきです。

魅力的でなく、従業員の共感を得られないものでは存在する意味がありません。

ビジネス・マネージャの夢、高い志を簡潔に述べたものが必要です。

(2)事業の目的・事業分野・事業目標を設定する

世の中に価値のある事業、人の役に立つ事業はうまく経営すれば必ず儲かるはずです。

事業戦略を考える場合、何のために事業をするのか、事業を通して社会にどう役立つのかという”事業の目的”は企業の存在理由を明確にする意味で重要で企業の原点といえましょう。

また、どの分野で社会に貢献するのか、事業分野はある程度具体的でなければ、どう社会に役立とうとしているのかわかりません。

儲かるしくみづくりをして結果を出すプロのビジネス・マネージャーである以上は、達成すべき具体的な事業目標・経営目標が当然あるべきです。

ビジネス・マネージャーは、具体的な達成すべき事業目標を設定し、これをいかに達成するか戦略を考えねばなりません。

(3)事業をどのように成長させるかという事業成長戦略を立案する

事業戦略の中で検討すべき重要事項は、今後どのように事業を伸ばしていくか、売上・利益を伸ばしていくかを考えることです。

この考え方は自由ですが、過去の考え方の実例から一つの考え方の枠組み”フレームワーク”として”品・市場マトリクス”とよばれるものがあります。

企業の収益を伸ばすには大まかに言って顧客の数を増やす(新規市場開拓)か、新しい商品・サービスによりビジネスを伸ばすか(商品開発)か主に2つの方策があるわけです。

 

事業戦略を考える場合、ビジネス・マネージャーは、事業を伸ばすために市場開拓をするか、商品開発をするか、または両方を行うかの戦略を検討しなければなりません。

この検討の中で重要なのは、それぞれでの投資の大きさ、リスクの大きさ、成功した時に得られるリターンの大きさを考えて、事業を成功へと導くということです。

 

事業戦略を考える場合、ビジネス環境によって、上図の状況は異なると思いますが、ビジネス・マネージャーとしてなすべきことは、ビジネスを伸ばすにおいてはどのぐらいの投資が必要か(人・金・もの)、どのぐらいのリスクがあるか、成功したときのリターンはどのぐらい大きいか、を見極めて成長戦略を決めることです。

大体組織が硬直化し保守的になってくると、何か積極的なことをやろうとするとリスクがあるのでやめろという圧力がかかりがちです。

保守的になって、リスクを恐れて積極的なことは何もせずじり貧に陥っていく。皆さんの企業ではそういうことはないでしょうか?

投資・リスク・リターンを見極めた上で、度胸を決めて積極的に事業展開していくことが大事なのではないでしょうか。

(4)事業ポートフォリオ戦略を立案する

事業戦略を考える場合、事業の投資分野(商品)や、投資しない事業の縮小・廃止分野(商品)を検討するポートフォリオ戦略を立案します。

ビジネス・マネージャーとしては、事業の成長戦略と同時に企業のリソースや投資の効率を最大化し、できるだけ小さい投資で大きな売上・利益をあげることを考えねばなりません。

例えば1万円を投資し(元手に)10万円儲けるより50万円儲けた方が投資効率が高く事業としては良いわけです。

事業戦略の中で検討すべき重要事項は、今後どの事業分野に投資し、儲からない事業分野に投資せず事業縮小、または事業を廃止するかを検討するということです。

2つの戦略レベルとして、複数の事業を考える企業全体の戦略と、一つの事業の中での複数の商品についての戦略がありますが、後者についていうと投資すべき商品と縮小・廃止すべき商品を検討するということになります。

このことを考えるときの一つのフレームワークは事業(または商品)の市場成長性とその事業(商品)の市場での競争力でこの投資効率を考えるものです。

上図は、市場成長率と競争力のマトリックスから投資優先度を決めるものです。

事業(または商品)の競争力とは具体的には市場占有率(マーケット・シェア)等、競合に対する競争力を示し、事業商品の状況によって市場占有率その他適切なパラメーターを選択します。

一般的に言って、競争力が高ければ、価格について主導的な立場(プライス・リーダーシップ)がとれるため、利益率は高くなります。

市場成長率については3年ぐらい先までの年平均の成長率であり、市場成長率がいくらであれば高いといえるかは、業種、地域等、様々な要因で異なるため、ビジネスの状況に応じて何%以上は高いとするか決めなければなりません。

また、成長率と競争力に事業(商品)の市場規模(ビジネス・サイズ)を加味する必要があります。

事業戦略を考える上で、高い市場成長率が期待でき、競争力の高い事業(または商品)はStarと呼ばれ、企業にとって投資効率が高く、ビジネス・サイズが十分な大きさがあれば非常に魅力的な投資分野となります。

競争力は強いが市場成長率が’低い事業(商品)は、投資を抑制し利益を出して、この利益を成長分野に投資する資金源とするもので、Cash Cowと呼ばれます。

市場成長率は高いが、競争力の低い事業、Questionと呼ばれ、新規事業が往々にしてこのカテゴリーに入り多少のリスクを伴っても投資して競争力を高めStarにすることが必要です。

市場成長率も競争力も低いものはDogと呼ばれ、投資効率の低い分野で事業(商品)の縮小・廃止を検討しなければなりません。

 

以上はあくまで一般的な考え方で、様々なビジネス環境に応じて投資効率を考え、投資すべき事業(商品)分野と縮小・廃止する事業(商品)分野を明確にしなければなりません。

ここで大切なのは

1)企業の経営資源(人・もの・金)は限りがあり、これを有効に投資して事業効率を高めるためには投資する分野(商品)、縮小・廃止する分野(商品)を明確にすること。

2)新たな事業(商品)の創造のため、多少リスクがあっても積極的な投資は必要であるということ。

ただ、往々にして何を新しくやるかより何をやめるかのほうが難しい判断になる場合が多いため、勇気を持って投資効率の悪い事業(商品)はバッサリ切ることが必要です。

また、事業戦略を考える上でポートフォリオから判断すべき重要なことは、どのビジネス(商品)で売上を稼いでどのビジネス(商品)で利益を稼ぐかということです。

全てのビジネス(商品)について利益・売上ともに期待する額が得られればいいのですが、現実にはそうはいきません。

企業にとって事業の目標は「利益の最大化」ですが、これを達成するためにも売上を伸ばすこと、ある一定の売上を超えることは非常に重要です。

また、利益を上げるコツは企業の損益分岐点より上に売上を持っていくことです。

それぞれの事業(商品)が目標の利益率を達成することではありません。

企業には人件費などに代表される「固定費用」が存在し、いかに売上を上げてこの固定費を回収するかが企業全体の利益率に大きく影響します。

企業全体として利益をあげるためには、個々の事業(商品)の利益率に固執するのではなく、損益分岐点以上に売上を上げるため、売上を稼ぐ事業(商品)と利益を上げる事業(商品)とでビジネス目的を区別し、それぞれの事業(商品)のビジネス戦略・ビジネス目標をその目的に沿って立てることが求められます。

どれで売上を稼いでどれで利益を稼ぐかをポートフォリオから戦略づけるのです。

 

以上、今回は、経営戦略の立案を成功させる4つのプロセスについて紹介しました。

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