人のマネジメントで大切なのは感情の動物である人の欲求モデルに対する理解です!

マネジメント

仕事においては、商品を作ってこれを販売したり、これに対する代価のやり取りがあったり、様々なイベントが発生しますが、仕事は本質的には全て人と人の間に起こるイベントです。

また、その人というのは適切かどうかだけでやる、やらないを論理的に割り切れる理性の動物ではなく、やりたくない、好き・嫌い、に左右される感情の動物と言えます。

そして、人のマネジメントは、この感情の動物である人をマネージする「職能」として捉えるべきです。

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感情の動物である人をマネージするという職能とは?

仕事上の不満・ストレスで多いのは、人間関係の問題、特に感情的な問題が多いと言えます。

わたしの個人的意見では、仕事上の問題の60%以上は、人と人の間の感情的な問題に起因していると言って過言でないと思います。

「あいつが言っているから内容は良さそうに聞こえるけど信用できない。」

「あの人は日頃礼儀に欠け、態度が悪いところがあるから仕事の依頼があっても引き受けたくない。」

人間の感情面が起因するトラブル問題は、皆さんの回りでもありとあらゆるものがあるのではないでしょうか。

人間関係の問題、感情的な問題の中でも、上司と相性が悪い、上司と仕事の考え方・やり方が合わない、上司との人間関係がうまくいかないことが仕事におけるストレスの最大の原因の一つであると言えます。

では、マネジャーの視点から何をなすべきかを考えると、マネジャーは様々な性格・価値観・考え方・能力を持つ部下たちと、上手く合わせていける能力、良好な人間関係を保つ能力が必要です。

マネジャーは組織のビジネス・ゴール(目標)を、部下を通して達成すべく仕事の技能・能力が必要であることはもちろんですが、一方で高い対人関係能力、人間関係構築の能力が求められ、マネジャーの職責が上がるに連れてこの対人関係能力も高いものが求められます。

人の上に立つべき人間性があるか、人から信頼される人格であるか、がマネジャーには求められ、ポジションが高くなればなるほどリーダーとしての高い対人関係能力が求められるのです。

マネジャー(管理職)は経理、設計、営業などの職種と同様に一つの職能であり、全く違った能力が要求されます。

「名選手は必ずしも名監督ならず」の言葉どおり、優秀な経理マン、営業マンは必ずしも優秀なマネジャーとなりえず、人のマネジメントは違った職能であると言えます。

マネジャーは部下が仕事において何を望んでいるかを理解することが求められる

そして、マネジャーは、部下が仕事において何を望んでいるかを把握し、適材適所の考え方で、仕事の内容はもちろんのこと、仕事のさせ方も、おのおのの部下に合わせたマネジメントをすることが求められるのです。

部下が何を望んでいるか?マズローの欲求5段階説で理解する

人は何を求めているか、どうなれば幸せか、ということを前提に、性格・考え方・価値感・能力が違う人達をうまくマネージするためには、適切に一人一人の人間を理解する、人生にいおいて職場・仕事において何を望んでいるか、何に価値を感じているか、を分析・理解することが必要です。

人を理解するといっても、人それぞれに育った環境・性格・考え方が違い複雑な仕事に思われます。

人を理解するための一つのフレームワークとして「マズローの欲求5段階説」が有効と思われます。

マズロー教授の人を見る目、人間観とは?

人間はあらゆる形の欲求・欲望を満たすために生きています。

欲求・欲望といっても、食欲や物欲など次元の低いものから、家族と仲良くしたいという愛情欲や、困った人のためになりたいという社会貢献欲求など、次元の高い欲求まで全て含まれています。

人間はこれらの欲求・欲望が満たされたときに満足感を得、幸せと感じるのです。

マネジャーは個々の部下がどういう欲求・欲望を持っているのかを理解し、その欲求が満たされるようにサポートすることが必要と言えます。

マズローの欲求5段階モデルとは?

《マズローの欲求5段階モデル》
1.生理的欲求
2.安全の欲求
3.所属と愛の欲求
4.承認(尊重)の欲求
5.自己実現の欲求
以上のように、マズローは人間の欲求を5段階に分類しています。

1から5の順に並んだ欲求は、低いものから順番に現れ、その欲求がある程度満たされると、次の欲求が現れるとされています。

まず、生理的欲求とは人間の生理的な欲求・欲望で、食欲、睡眠欲などが挙げられます。

この飢えなどの生理的欲求がある程度満たされると、次の安全の欲求が現れます。

これは、身の安全、身分の安全、他人への依存、不安・混乱からの自由、秩序などを求めるものです。

所属と愛の欲求とは、家族と愛情のある家庭を持ちたい、職場の同僚から愛されたいなど周りの人との愛情・連帯の欲求です。

承認の欲求とは、自分の仕事を周りから認められたい、社会的な地位・名誉が欲しい、社会の人から認められたいなど自尊心に関わる欲求です。

最後の自己実現欲求は、自分がこの世に生まれてきて自分の天職をまっとうしたい、お金や地位・名誉が目的でなく自分としてこう在りたい、と感じる欲求です。

人はそれぞれ何かしら上記の5段階全ての欲求をもっています。

ただし、各々の人でどの段階の欲求が強いかに違いがあります。

人によってはあまりお金、地位・名誉に執着がなく、家庭生活、家族間の愛情が最も重要でこれを求める欲求が最も強いこともあります。

マネジャーとして相手に合わすということは、相手が何を求めているか、どうなったら満足を感じるかを理解して、相手がしてもらいたいと思う事をしてあげることだと言えます。

マネジャーとして必要なのは、部下それぞれの欲求を理解し仕事においてそれが満足できるよう仕事内容および仕事の目標を設定して部下のやる気を高める、仕事・職場に対する満足感を高めることと言えるでしょう。

このように、人間はあらゆる形の欲求・欲望を持ち、その欲求・欲望が満たされるとき満足感や幸福感を感じるものです。

欲求・欲望を適当な程度に持っているということは良いことで、これらを満足するために生きがいが持てたり仕事に対するやりがいが持てるのです。

部下がどの段階の欲求が強いか理解することの重要性とは?

欲求・欲望を先に述べたマズローの欲求5段階モデルで考えるとき、人は何かしらこれら5段階の欲求を全て持ち合わせているものだと思われます。

ただ、人それぞれに性格・価値観・生活環境が違いこれら5段階の欲求に偏りがあるものです。

マズローの欲求5段階モデルが満たされれば、必要以上の金銭的な裕福さや社会的な地位・名誉などより家族・職場などの周りの人との愛情・連帯が重要でこのことに満足感・幸福感を強く感じるタイプの人が多くおられると思います。

愛情というのは人間の持つ美しい形の欲求の一つで、周りの人にも良い影響を与えるものです。

一方、周りの人との人間関係は気にしながらも自分は世間の人から認めてもらいたい、仕事の成果に応じて社会的な地位・名誉が欲しいという自尊欲求の強いタイプの人もおられるでしょう。

人のマネジメントにおいては、人の特性・欲求を理解する、言い換えればどのタイプの欲求を強く持っているかを理解することが必要です。

仕事を通して、それぞれの人が持つ欲求を満たせるように与える仕事や、仕事のやり方を考えること、別の視点で考えると、人それぞれの持っている欲求をうまく仕事に向けて仕事に対するやる気、モチベーションを高めることがマネジメントにおいて重要ということがマズローの心理学より考えられます。

まとめ

1.マネジャー(管理職)は経理、設計、営業などの職種と同様に一つの職能であり、全く違った能力が要求されます。
そして、「名選手は必ずしも名監督ならず」の言葉どおり、優秀な経理マン、営業マンは必ずしも優秀なマネジャーとなりえず、人のマネジメントは違った職能であると言えます。

2.欲求・欲望をマズローの欲求5段階モデルで考えるとき、人は何かしらこれら5段階の欲求を全て持ち合わせています。そして、それぞれにその欲求の度合いが異なります。マネジャーは、この部下ごとの欲求を理解しモチベーションを高めるようにマネージすることを心がける必要があります。

 

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