商品開発プロセスが成功となるためには、7つのポイントがあることを紹介しました。
新商品の儲けるビジネスプランとして考慮すべき点は?
新商品を開発する場合、そのスターティング・ポイントで最も重要なのは、これから開発する商品のビジネス目標を明確にするということです。
事業全体として利益を最大化するのが事業の目標であり、商品全てが高い利益を生み出す商品であるに越したことはありませんが、市場、競合、自社経営資源という現実のビジネス環境を考えたとき、多くの場合でこれは困難です。
多くの企業において固定費が大きな費用であることを考えると、利益を最大化する一つのコツは売上を損益分岐点よりできるだけ上に持っていけばいくほど利益が大きくなる、ということです。
損益分岐点を超えてからは売上の伸び率に比べて利益の伸び率は一般的にかなり大きくなります。
商品のビジネス目標は、利益を重視するのか、売上・マーケットシェアを重視するのか。
また、どのぐらい投資すべき商品なのか、
どのぐらいのリスクを覚悟で商品開発すべきなのか。
これらを、その商品のビジネス目標として明確にすることが商品開発成功の第一歩といえます。
特に組織で多くの部署が関わって商品開発がなされる場合にはより重要です。
新商品の儲けるビジネスプランとして捉えられるべき6つの項目
具体的な新商品の儲けるビジネスプランの主な目標としては下記の項目が考えられます。
1)商品単品の利益率・利益額(予定販売価格と商品原価から計算できる 商品単品の利益)
2)商品の予想売上高(販売単価 x 予想販売数量)
3)投資回収効率(Return On Investment)
新商品開発投資額に対しその 製品からどれぐらい利益が得られるかの指標(ROI)
=商品の年間利益額x商品ライフ(5年)/商品開発投資額
4)開発期間・開発工数
5)損益分岐点到達期間(Break Even Time)
6)市場導入の時期 市場の要求にタイミング間に合うか
恐らく多くの企業では新商品を開発すべきかどうかの判断基準として上記の項目についてある基準値を設けこれを満たしているかどうかで商品開発のGo/No-Goを決定されていると思います。
例えば、判断基準として
1)商品単品の売上利益率 : 10%以上
2)商品の予想売上高(販売単価 x 予想販売数量) : 1億円以上
3)投資回収効率(Return On Investment) 商品の年間利益額x商品ライフ(5年)/商品開発投資額 : 5以上
多くの企業で犯している間違いは、全ての新商品について同じ基準で評価し、新商品として開発・販売すべきかどうかを判断していることです。
この商品は売上は稼げるが利益率が基準を満たさないから商品として開発するのは止めようということがよくあります。
しかし、新商品の開発の目標は利益率だけではないはずで、その新商品のビジネスの目的とそれに従った目標がしっかり見定められているべきです。
ビジネスの目的が明確でないためにせっかくのビジネスチャンスを見失っている例が多々あります。
つまりは、事業全体として儲けるにはどうすべきかという広い視野から、個々の製品の目標を考えるべきであると考えます。
新商品の成功確率!数打ちゃ当たる?
全ての企業にとって新商品が計画通りに売れて、そして、儲かることが重要であり、これくらい儲かるだろうと考えて商品開発をされていると思いますが、実際、新商品が計画通り売れて、儲かる確率(成功する確率)はどのぐらいと皆さんは思われますか?
新商品の開発について体系的に研究された例は少ないのですが、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)の経営大学院であるSloan校ではこの研究がなされおもしろい統計がとられています。
MIT Sloan によると、企業向け商品である産業財新商品が、プラン通り成功する確率は27%ぐらいで、一般大衆が顧客である民生品の新商品成功の確率は更に低く16%との統計が出ています。
つまり、
商品分野 | 新商品成功 の平均確率 |
統計に基づく望ましい 新商品成功確率 |
REMARKS |
産業用商品 | 27% | 50% | 2つ商品を開発して
1つヒットすればExcellent |
民生用商品 | 16% | 33% | 3つのうち1つの新商品 がヒットすればExcellent |
事業目標を達成するために大切なことは、2つに1つの新商品は失敗することを見込んで(覚悟して)、失敗を恐れずどんどん新しい商品を開発・販売する必要があるということです。
そして、常識的に考えて無理であるのに、企業として誤った判断をするのは、全ての新商品が計画通り販売できて、成功するという想定のもとに事業計画を考えることです。
皆さんの企業ではこのような間違いは犯していないでしょうか?
損益分岐点分析シート(前期・当期比較)を出品します 予算編成時に必要な前期実績と当期予算の費用構造比較ができます
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