お茶の水女子大学名誉教授・内田伸子氏の調査によれば、親子の触れ合いを大切にして、親子で一緒に絵本を読んだり、親子で一緒に工作遊びなどをすることを通じて、楽しい時間を過ごすことを優先している「共有型しつけ」の家庭では、子どもの読み書きや、語彙得点が共に高い傾向を示したという結果が出ています。
一方で、子どもを躾けるのは親の役目で、悪いことをしたら罰を与えるのは当然と考え、常に指示をしているような「強制型しつけ」の家庭では、子どもの読み書きや、語彙得点が共に低い傾向を示しています。
また、幼稚園や保育所の場合は、子ども中心の保育や、自由遊びの時間が長い施設に通う子供は、読み書きや、語彙得点が高いということもわかっています。
さらに、この子供たちが小学校に入学してから1年後に調査をしたところ、「共有型しつけ」で育った子どもや、自由保育で育った子どもは、小学校での学力テストの成績も高い傾向があったそうです。
つまり、子どもの学力差に関係するのは、早くから文字の読み書きができるかという点と、家庭でのしつけスタイルや、幼稚園や保育所で自由にのびのびと育っているかどうかということが重要だということです。
子どものしつけは「共有型しつけ」を心がけよう
先述の通り、子どもに学力差ができる原因は、家庭でのしつけスタイルに関係していることがわかりましたが、では、子どもの主体性を大切にする「共有型しつけ」と、親の言う事を聞かせる「強制型しつけ」はどのようなものなのでしょうか。
「共有型しつけ」は親子で楽しい経験を共有することから始まる
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「共有型しつけ」とは、子どもを一人の人格を持つ存在として尊重しながら、子どもとのふれあいや会話を大事にしつつ、楽しい経験を子どもと共有しようとするしつけかたを言います。
子どもとこのようなかかわり方をする親は、家庭の団らんや親子の会話、夫婦の会話も大事にしていることが窺われ、また、家庭の所得の高低に関係なく、共有型しつけをしている家庭には本も沢山あり、親も本好きで乳幼児の頃から子どもに絵本の読み聞かせをしている家庭が多いという傾向があります。そして、親も本好きな家庭で育った子どもは、読み書きのリテラシー得点や語彙得点も高いという結果が出ています。
「強制型しつけ」では子どもの学力に悪影響が・・・
【母の気づき】
子どもにゴマするのと
手綱を緩めるのは違う。時にはハッキリとした態度を。
子どもにも大人にも
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「強制型しつけ」とは、子どもをしつけるのは親の役目、自分の思い通りに子供を育てたい、子どもが言う事を聞かなければ罰を与えるのは当然、口で言い聞かせてもわからないなら力のしつけも構わない、子どもが親の言う事を聞かなければわかるまでガミガミと責め立てる、といったタイプを言います。
そして、この幼児期に強制型しつけを受けた子どもは国語の学力や語彙力が低いという結果が出ています。
しつけスタイルによる子どもへの接し方の違いとその影響は?
【コラム】指示待ちの子どもから“主体性”を導く「共有型しつけ」のすすめ : ジュニアサッカーを応援しよう! http://t.co/pYyPr2uks8 #ジュニサカ #soccer #サッカー #共有型しつけ pic.twitter.com/jZUsdiN6FQ
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先述の内田伸子氏の調査によれば、「共有型しつけ」では、母親は子どもに考える余地を与えるような援助的なサポートを心がけています。そして母親は子どもの反応に敏感で、子どもの様子を見ながら絵本を読み進めたり、パズルブロック課題に取り組んでいる時は、母親は子どもを見守り、子どもが困ったときだけヒントを与えて、自分から話しかけるのではなく、子どもの発話や行動に共感的に応じます。
この母親の関わり方の結果、子どもは自ら主体的に探索したり、自ら考え工夫してなんとか一人で解決策を見出し、自力で解決まで至ります。これにより子どもは自分一人でやり遂げたという達成感を感じることができるよになります。
この成功体験の積み重ねによって、子どもの社会的自律性や自律的思考力が育まれ、そして、子ども自身の主体性が尊重される中で、語彙力が身に付き、知識も豊かになっていくと考えられています。
一方で、「強制型しつけ」では、母親は子どもに対して考える余地を与えないような指示型の介入を行っています。子どもが自らやろうとしていることに対して、それは難しいから別のことをやるよう指示するスタンスがとられ、母親がルールをつくり、そのルール通りにやらせようとする姿が目立ちます。
結果として、子どもは母親の顔色を窺い、顔色を見ながら判断・行動するようになってしまい、子ども自身の主体的な探索行動が見られず委縮してしまうようになります。そして、子どもに関心がないことであっても、親のルールの押し付けによって、やらざるを得ない状況に追い込まれるようにもなります。
このようなプレッシャーとストレスの大きな環境下では、子どもの学びの質は低くなると考えられ、学ぶ意欲も育たない恐れがあります。
幼児期の「共有型しつけ」がその後の子どもの成育に有効との結果が!
先述の内田伸子氏の調査(2014)によれば、受験偏差値68以上の難関大学・学部を卒業して難関試験(司法試験・国家公務員試験・調査官試験・医師国家試験など)を突破した子どもを持つ親は、子どもと一緒に遊び、子どもの趣味や好きなことに集中して取り組ませたり、絵本の読み聞かせに時間を割いたという傾向があり、「共有型しつけ」をしていた親が多かったそうです。
これは、子どもが自発的に主体的に考え行動することを親がサポートすることによって、子どもが熱中して遊ぶことを認め、共感して褒めてあげることで、子どもの達成感に繋がり、その小さな成功体験を積み重ねることで子どもの自信や自尊心が育まれることに繋がっていると考えられます。
そして、このことが難しい問題に直面しても、自ら解決できるという前向きな気持ちに繋がり、耐ストレス性や挑戦する強い気持ちを醸成し、その積み重ねが社会的成功へとむずびついていると考えられるのです。
幼児期の共有型しつけを簡単に始めるには?
この「共有型しつけ」が、子どもの自発的・主体的に考え行動することをサポートすることにあるとすれば、現在、世界レベルで認められた幼児教育メソッドの一つとして知られる「モンテッソーリ教育」は、まさに「共有型しつけ」に見られる特徴を体現した教育法であると言えます。
この「モンテッソーリ教育」を実践している幼稚園や保育所はありますが、実際には少ない現実を考えると、この教育法を受けたいと思っても、なかなか簡単にはいきません。
一方で、あの藤井総太棋士が幼少の頃受けていた「モンテッソーリ教育」のエッセンスを取り入れた学習システムがあり、家庭で「共有型しつけ」を実践しながら、この学習システムを取り入れることで、子どもの「好き」を活かすことに重点をおいた家庭での学習環境を簡単に整えることができます。
家庭で「共有型しつけ」に取り組みながら、さらに子どもの能力を最大限に伸ばすことを可能にするこの学習システムを検討してみてはいかがでしょう。
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