【実体験】月のホテルを拠点に本間家の足跡と庄内の地酒を巡る酒田一人旅

おみやげ
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東京から酒田へ──本間家ゆかりの名所を巡る旅の始まり

今回の酒田旅行は、東京から鉄道を利用して向かいました。

東京駅からは上越新幹線で新潟へ向かいます。

新幹線の車中では、無料アプリ「ソラリ」で夏目漱石の『こころ』を読んで過ごしました。

普段から下村湖人や中勘助、永井荷風など、著作権の切れた近代文学を読むことが多く、旅先へ向かう列車の中で作品の世界に浸る時間は格別です。

特に『こころ』は、人間の心の機微を静かに描いた作品です。

旅の高揚感の中にいながらも、どこか落ち着いた気持ちでページをめくっていました。

新潟駅からは特急いなほの自由席に乗車しました。

おすすめは進行方向左側の席です。

村上駅を過ぎると、日本海が車窓いっぱいに広がります。

この日の海は驚くほど穏やかでした。

青と緑が溶け合ったような透明感のある海面が続き、まるで一枚の写真を眺めているかのようです。

波はほとんどなく、海の底まで見えてしまいそうなほど澄んでいました。

思わず魚が泳いでいるのではないかと目を凝らしてしまったほどです。

あつみ温泉駅を過ぎるとトンネルが多くなります。

暗いトンネルへ入り、再び明るい景色の中へ出ることを繰り返しているうちに、いつの間にか車窓には鳥海山の雄大な姿が現れました。

標高2,236メートル。

出羽富士とも呼ばれる名峰です。

庄内平野の向こうに堂々とそびえる姿は圧巻で、酒田へ近づいてきたことを実感させてくれます。

やがて鳥海山が後方へ遠ざかると、今度は列車右側の窓から月山が見えてきました。

山形県を代表する二つの名峰を車窓から眺められるのも、羽越本線の魅力の一つです。

そうこうしているうちに余目駅を通過し、列車は終点の酒田駅へ。

読書を楽しみ、美しい海を眺め、鳥海山と月山に迎えられる。

そんな贅沢な移動時間を過ごしていると、長旅だったはずなのに不思議と疲れは感じませんでした。

酒田の旅は、駅に到着する前からすでに始まっていたのです。

酒田観光は月のホテルを拠点にすると効率的

山形県酒田市は、日本海交易によって栄えた港町です。

江戸時代には「西の堺、東の酒田」と称されるほど繁栄し、その発展を支えたのが豪商として知られる本間家でした。

現在も市内には本間家ゆかりの史跡や歴史的建造物が数多く残されており、歴史好きにはたまらない観光地となっています。

今回私は東京から鉄道を利用して酒田を訪れました。

宿泊先に選んだのは酒田駅を出てすぐの「月のホテル」です。

月のホテルに宿泊して感じた魅力

酒田駅に隣接しているため、鉄道で訪れる旅行者にとって非常に利便性の高いホテルとして知られています。

実際に宿泊してみて最も便利だと感じたのは、その立地でした。

特急いなほを降りて改札を出ると、迷うことなくホテルへ到着できます。

初めて酒田を訪れる方でも安心して利用できるでしょう。

館内は比較的新しく、落ち着いた雰囲気です。

ロビーは開放感があり、観光客だけでなく地元の方も利用している様子でした。

月のホテルの特徴として挙げられるのが、酒田市立中央図書館との一体整備です。

一般的なビジネスホテルとは異なり、本に囲まれた落ち着いた空間が広がっています。

旅行中のホテルで読書を楽しめるというのは珍しく、知的な雰囲気を感じました。

客室も清潔感があり、一人旅には十分な広さです。

ベッドの寝心地も良く、長距離移動の疲れをしっかり癒やすことができました。

Wi-Fi環境も整っているため、旅行中に写真を整理したり、翌日の予定を確認したりする際にも不便はありません。

また、観光客にとってありがたいのが荷物預かりサービスです。

今回のようにチェックアウト後も観光を続ける場合、大きな荷物を持ち歩く必要がありません。

私は朝に荷物を預け、夕方に受け取りましたが、そのおかげでレンタサイクルを利用した市内観光を快適に楽しめました。

朝食も評判どおりの内容でした。

 

庄内産の食材を活かした料理が並び、地元ならではの味を楽しめます。

旅行先では観光地の食事に注目しがちですが、ホテルの朝食も旅の満足度を左右する重要な要素です。

月のホテルの朝食は、その期待に十分応えてくれる内容でした。

酒田観光を計画している方には、ぜひ候補に入れてほしいホテルです。

🛌月のホテルの詳細を見てみる

チェックアウト後も荷物を預かってもらえるため、観光中は身軽に行動できます。

さらに無料レンタサイクルを利用できるため、市内観光との相性も抜群でした。

この記事では、実際に私が巡った酒田観光モデルコースをご紹介します。

本間家ゆかりの史跡を中心に、庄内浜の魚介や庄内の地酒も楽しめる充実した一日旅です。

今回巡った酒田観光モデルコース

今回実際に巡ったコースを時系列でまとめると、次のようになります。

9:00 月のホテル出発

9:15 本間美術館見学

11:00 日枝神社

11:15 光丘神社

11:30 旧光丘文庫

11:45 日和山公園(休憩タイム)

12:30 さかた海鮮市場・とびしま(昼食)

13:45 本間家旧本邸

14:45 いろは蔵パークで地酒試飲・スーパー「といちや」で弁当購入・庄内産つや姫発送

15:45 山居倉庫(観光案内所でレンタサイクル返却)

16:00 ケヤキ並木散策

16:30 木川屋で地酒購入

17:12 るんるんバスで酒田駅前へ

17:30 月のホテルで荷物受け取り

18:18 酒田駅から特急いなほ乗車(新潟で上越新幹線乗り換え)

22:28 東京着

月のホテルで荷物を預けて出発

朝食を終えてチェックアウト後、まずはフロントに荷物を預けました。

帰りの列車まで時間がある場合、大きな荷物を持ち歩かなくて済むのは本当に助かります。

月のホテルは酒田駅に隣接しているため、帰りの列車時刻を気にしながら観光する必要もありません。

身軽になったところで、ホテルのレンタサイクルを借りて出発です。

酒田市中心部は比較的平坦で、自転車移動が非常に快適でした。

徒歩だと少し距離を感じるスポットも、自転車なら効率よく巡れます。

本間美術館で収蔵品・庭園・元別荘などを通じて本間家の歴史を学ぶ

最初に訪れたのは本間美術館です。

酒田観光をするなら、まずここを訪れることをおすすめします。

本間家の歴史や文化を学んでから市内を巡ると、その後の観光がより興味深いものになるからです。

館内には本間家が収集した美術品や工芸品が展示されています。

財力だけではなく、高い文化的教養を持っていたことが伝わってきます。

特に印象的だったのは庭園です。

鳥海山を借景とした美しい景観は見事で、豪商の別荘らしい落ち着いた雰囲気を感じられました。

観光地をただ巡るだけではなく、その土地の歴史を理解しながら歩きたい方にはぜひ訪れてほしい場所です。

本間美術館は「時計回り」がおすすめ

本間美術館には大きく分けて、

  • 新館
  • 庭園(鶴舞園)
  • 清遠閣(旧館)

という三つの見どころがあります。

初めて訪れる方には、庭園(鶴舞園)を時計回りで見学することをおすすめします。

まずは新館から見学を始めましょう。

館内には本間家ゆかりの書画や茶道具、美術品などが展示されており、本間家の文化的な側面を知ることができます。

展示を見終えたら庭園へ向かいます。

鶴舞園は池泉回遊式庭園となっており、池を囲むように散策路が整備されています。

ここで反時計回りではなく、時計回りに進むのがポイントです。

庭園の半分ほど進んだ場所に車寄せがあり、その先に清遠閣の入口があります。

まず庭園を眺め、その流れで清遠閣へ入ることで、本間家の別荘としての魅力をより深く味わえるように感じました。

清遠閣で感じる大正ロマン

清遠閣へ入ると、まず目に入るのが広々とした和室です。

豪商本間家の別荘らしい落ち着いた空間が広がっています。

さらに奥へ進むと、庭園を眺めながら休憩できるスペースがあります。

窓越しに見える池や木々の景色は美しく、時間を忘れてしまいそうでした。

そしてぜひ見ておきたいのが二階部分です。

階段を上がると、本間家の収蔵品が展示されたケースが並んでいます。

その先には、1925年(大正14年)に皇太子時代の昭和天皇が宿泊された客間があります。

この部屋は特に印象的でした。

シルクを用いた照明器具や石英ガラスの照明が当時のまま残されており、大正時代の雰囲気を今に伝えています。

窓のガラスも当時のものが使われているそうで、約100年前の空気を感じながら見学できる貴重な空間です。

華美ではないものの、随所に品格が感じられ、大正ロマンという言葉がぴったりだと思いました。

最後は庭園を歩いて出口へ

清遠閣を見学した後は、再び庭園へ出て散策を続けます。

そのまま時計回りに進むと、やがて庭園入口へ戻ってきます。

新館、美術品、庭園、そして清遠閣。

本間美術館は単なる美術館ではなく、本間家の美意識やもてなしの心を体感できる場所だと感じました。

レンタサイクルで日枝神社へ向かう

本間美術館を見学した後は、日枝神社へ向かいました。

日枝神社は日和山公園の近くにあり、途中には緩やかな上り坂があります。

坂道と聞くと不安になるかもしれませんが、それほど急ではありません。

電動アシスト付きではないレンタサイクルでも、少し頑張れば十分に登れる程度です。

しばらく進むと、登り切る手前の右側に鳥居が見えてきます。

まずはその鳥居の近くにレンタサイクルを停め、随神門へ向かいました。

不思議な反響音が楽しめる随神門

日枝神社の見どころの一つが随神門です。

この門は、手をたたくと独特の反響音が返ってくることで知られています。

私も実際に試してみました。

門の中央付近で手をたたくと、予想以上にはっきりとした反響が返ってきます。

まるで建物全体が共鳴しているような不思議な感覚でした。

観光客にも人気の体験で、日枝神社を訪れたらぜひ試してみたいポイントです。

本殿へは参道を進む

随神門を見学した後は、一度鳥居のところまで戻ります。

そして再びレンタサイクルに乗り、先ほど登ってきた坂を少しだけ下ります。

するとすぐ左側に参道へ入る道があります。

ここを進むと日枝神社の境内へ到着します。

さらに奥へ進むと参道右側に駐車スペースがあります。

私はその端にレンタサイクルを停めて参拝しました。

本殿周辺は落ち着いた雰囲気で、酒田市街地に近い場所とは思えないほど静かです。

歴史ある社殿に手を合わせながら、これから続く酒田散策の安全を祈願しました。

光丘神社で本間家中興の祖に手を合わせる

日枝神社の参拝を終えたら、レンタサイクルはそのままにして歩いて光丘神社へ向かいました。

日枝神社本殿を背に左手へ進み、鳥居が見える場所まで来たら、さらに左へ進みます。

そのまま真っすぐ歩いていくと、やがて光丘神社が見えてきました。

観光客で賑わう場所ではありませんが、本間家ゆかりの地を巡る旅ではぜひ立ち寄りたい場所です。

この神社に祀られているのは、本間家三代当主・本間四郎三郎光丘です。

「本間様には及びもせぬが、せめてなりたや殿様に」

という戯れ歌が残るほど、本間家は酒田の人々から敬愛されていました。中でも光丘は本間家中興の祖と呼ばれ、酒田周辺の開墾事業や酒田港の整備、庄内藩財政の立て直しなどに尽力した人物として知られています。

実際に酒田の町を歩いていると、

  • 本間美術館
  • 本間家旧本邸
  • 旧光丘文庫
  • いろは蔵パーク

など、本間家の足跡が至るところに残されていることに気付きます。

その中心にいるのが光丘です。

豪商として財を成しただけではなく、その財を地域の発展や教育、文化の振興に役立てたからこそ、今なお酒田の人々に語り継がれているのでしょう。

境内は静かで落ち着いた雰囲気でした。

私は参拝しながら、これまで訪れてきた本間家ゆかりの場所を思い返していました。

本間家の歴史を学びながら酒田を歩いていると、単なる観光地巡りではなく、一人の人物が地域に残した功績をたどる旅をしているような気持ちになります。

そして光丘神社を後にすると、次の目的地である旧光丘文庫へ向かいました。

本間家が力を注いだ「教育」と「文化」を象徴する建物です。

旧光丘文庫で高校時代を思い出す

光丘神社のすぐ近くにある旧光丘文庫にも立ち寄りました。

この建物は本間家が地域の教育と文化の発展を願って設立した図書施設で、現在は歴史的建造物として保存されています。

洋風建築の落ち着いた佇まいは、周囲の緑ともよく調和していました。

しかし、私にとって旧光丘文庫は単なる観光スポットではありません。

高校時代、私はこの建物の学習室でよく勉強をしていました。

放課後や夏休みになると自転車でここまで来て、試験勉強に取り組んでいたのです。

当時は図書館として利用するというより、静かに勉強できる場所として通っていました。

蔵書を借りた記憶はほとんどありません。

それでも、この場所にはたくさんの思い出があります。

久しぶりに訪れてみると、あの頃と変わらない空気が流れていました。

窓の外から聞こえてくるセミの鳴き声。

日本海から吹いてくるやわらかな風。

静かな時間の流れ。

高校生だった私は、この場所でどんな将来を思い描いていたのだろう。

そんなことを考えながら建物を眺めていました。

酒田を離れて長い年月が経ちましたが、こうして再び訪れてみると、当時の記憶が次々によみがえってきます。

観光地としての価値はもちろんありますが、私にとって旧光丘文庫は青春時代の一部が残る特別な場所でした。

本間家の歴史をたどる旅の途中で、思いがけず自分自身の歴史も振り返ることになったのです。

日和山公園で子ども時代の記憶をたどる

旧光丘文庫を後にし、レンタサイクルを停めていた場所へ戻りました。

次の目的地は日和山公園です。

酒田を代表する公園のひとつで、日本海を望む高台に位置しています。

しかし、私にとっての日和山公園は、単なる観光名所ではありません。

子ども時代の思い出がたくさん詰まった場所でもあります。

当時、お祭りの時期になると公園の広場には数多くの露店が並び、大勢の人で賑わっていました。

焼きそばや綿菓子などおなじみの屋台もありましたが、今でも忘れられないのが「ろくろ首の女」がいるという見世物小屋です。

本当に首の長い女の人がいるらしい。

そんな話を聞いて、子ども心にものすごく興味を持ったのを覚えています。

しかし実際には、

「見てみたい」

という気持ちと、

「もし本当にいたら怖い」

という気持ちが入り混じり、結局最後まで入ることはありませんでした。

今思えば、あれはどんな出し物だったのだろう。

そんなことを考えながら園内を歩いていました。

若者たちのデートスポットだった展望台

日和山公園には展望台があります。

私が若かった頃、この展望台は地元の若者たちの定番デートスポットでした。

夕方になるとカップルの姿を見かけることも珍しくありません。

あれから何十年も経ちました。

今でも若い人たちがここで待ち合わせをしたり、海を眺めたりしているのだろうか。

そんなことを思いながら展望台の周辺を歩いてみました。

木造六角灯台と日本海の眺め

日和山公園を訪れたらぜひ見ておきたいのが木造六角灯台です。

現存する日本最古級の木造灯台として知られ、酒田港の歴史を今に伝えています。

白い灯台は青空によく映え、どこか懐かしい雰囲気を感じさせます。

灯台を眺めた後はベンチに腰を下ろし、日本海を眺めながらしばし休憩しました。

この日は天候にも恵まれ、水平線まで穏やかな海が広がっていました。

酒田へ向かう特急いなほの車窓から眺めた日本海も美しかったですが、高台から見下ろす海にもまた違った魅力があります。

本間家の歴史を巡る旅の途中でしたが、この時間だけは少し立ち止まり、自分自身の思い出を振り返るひとときとなりました。

子どもの頃に見た祭りの賑わい。

若者たちが集まっていた展望台。

そして今の静かな日和山公園。

同じ場所でも、その時々で見える景色は違います。

今回の日和山公園は、観光スポットというよりも、過去の自分と再会する場所だったように思います。

日和山公園からさかた海鮮市場へ

日和山公園で日本海を眺めながらしばらく休憩した後、昼食を取るためにさかた海鮮市場へ向かいました。

日和山公園からは徒歩でも移動できる距離です。

港の近くということもあり、周辺には海鮮を楽しめる店が集まっています。

今回訪れたのは海鮮市場2階にある「とびしま」です。

港町ならではの海鮮丼を味わう

注文したのは海鮮丼でした。

丼いっぱいに盛られた新鮮な魚介は見た目にも華やかです。

日本海を眺めた直後ということもあり、

「いま見ていた海の恵みを食べている」

そんな気分になりました。

観光地の海鮮丼というと価格ばかり高い店もありますが、酒田は漁港の町です。

魚そのもののおいしさをしっかり味わうことができました。

本間家旧本邸と臥龍の松、そして酒田大火の記憶

さかた海鮮市場を後にし、本間家旧本邸へ向かいました。

ここは本間家が実際に居住していた邸宅であり、本間家ゆかりの場所の中でも特に見応えのあるスポットです。

敷地へ入ると、まず目を引くのが玄関前の庭の中央に堂々と立つ大きなアカマツです。

樹齢400年以上といわれる「臥龍の松」。

その名の通り、まるで龍が地を這うように枝を伸ばしています。

初めて見る人は、その大きさと存在感に圧倒されるのではないでしょうか。

しかし私がこの場所を訪れると、いつも別の記憶がよみがえります。

高校2年生の秋に起きた酒田大火です。

当時の私は酒田市内に住んでおり、この火災で自宅を失いました。

突然の出来事でした。

市街地の広い範囲が炎に包まれ、多くの建物が焼失していく光景は、今でも忘れることができません。

幸い命に別状はありませんでしたが、「焼け出される」という経験は人生でそう何度もあるものではありません。

だからこそ、酒田大火の記憶は今も私の中に残っています。

そんな大火の中で、本間家旧本邸にはひとつの逸話があります。

周囲の建物が次々と焼失していくなか、この邸宅は奇跡的に焼け残りました。

敷地を囲む塀の構造に工夫が施されており、飛来する火の粉が敷地内へ入り込みにくくなっていたためだと伝えられています。

実際に現地を歩くと、周囲との位置関係からも、その話に納得できるような気がしました。

もちろん、それだけで大火を防げたわけではないでしょう。

しかし先人たちの知恵と工夫が、この貴重な建物を守ったことは間違いありません。

今こうして臥龍の松を眺めていると、酒田の歴史だけでなく、自分自身の人生の歴史も重なって見えてきます。

豪商本間家の時代。

酒田大火の時代。

そして現在。

この場所は、それらすべてを静かに見守ってきたのかもしれません。

いろは蔵パークで地酒を試飲してみた

酒田観光の楽しみの一つが庄内地方の地酒です。

今回訪れたいろは蔵パークでは試飲コーナーが設けられており、いくつかの銘柄を味わうことができました。

1回100円で試飲できます。

まず試したのは杉勇の「つや姫純米酒」です。

山形を代表するブランド米「つや姫」を使用した日本酒で、米の旨味を感じながらも飲みやすい味わいでした。

続いて清泉川の「つや姫にごり酒」。

こちらはにごり酒らしいまろやかさがあり、口当たりのやさしさが印象的でした。

普段あまりにごり酒を飲む機会はありませんが、日本酒の幅広さを改めて感じます。

そして最後に試飲したのが、なぜか日本酒ではなく地元遊佐蒸溜所のYUZAブレンデッドウイスキー シグネチャー・ブレンドでした。

日本酒の試飲コーナーでウイスキーを見つけたときは少し意外でしたが、せっかくなので挑戦してみることにしました。

華やかな香りと滑らかな口当たりが印象的で、庄内地方が日本酒だけでなくウイスキーでも注目されていることを知るきっかけになりました。

試飲コーナーで出会った若いカップルとの会話

いろは蔵パークで地酒を試飲していたとき、ちょっとした出来事がありました。

近くで日本酒を選んでいた若いカップルが、何度か私の方を見ながら銘柄を眺めていたのです。

せっかくなので声をかけてみると、

「甘口が好きなんですけど、ただ甘いだけじゃなくてバランスの良いお酒を探しているんです」

とのことでした。

それを聞いて私が思い浮かべたのが、加藤嘉八郎酒造の「十水(とみず)」です。

日本酒度はマイナス7前後で一般的には甘口に分類されますが、単純な甘さではなく旨味とのバランスが非常に良い日本酒です。

私はどちらかというと辛口の日本酒を好むのですが、それでも十水は食中酒として飲むことがあります。

そのくらい完成度の高いお酒だと思っています。

「それなら十水がおすすめですよ」

と伝えたところ、興味を持ってくれたようでした。

ところが試飲コーナーや売場を探してみても、その日は十水が見当たりません。

そこで、

「隣のスーパーマーケット『といちや』なら置いてあると思いますよ」

とお伝えすると、

「じゃあ後で行ってみます」

と笑顔で答えてくれました。

ほんの数分の短いやり取りでしたが、日本酒好き同士だからこその会話だったように思います。

旅先では観光地や景色だけでなく、こうした偶然の出会いも楽しいものです。

もしあのカップルが無事に十水を見つけて気に入ってくれていたら、同じ日本酒好きとしてうれしいなと思います。

それでも私が選んだのは麓井の圓だった

いろいろ試飲を楽しんだ後、山居倉庫近くの木川屋でお土産選びをしました。

試飲した銘柄を購入するという選択肢もありましたが、最終的に私が選んだのは麓井酒造の「麓井の圓(まどか)」でした。

実は以前から気に入っている銘柄で、庄内地方を訪れたらぜひ購入したいと思っていた日本酒です。

最近は純米大吟醸など華やかな香りの日本酒が人気ですが、圓は派手さを競うタイプではありません。

食事と一緒にゆっくり楽しめる落ち着いた味わいが魅力です。

今回の旅ではさまざまな地酒を試飲しましたが、最後に選んだのはやはり自分が本当に好きな一本でした。

旅先で新しいお酒と出会う楽しさもありますが、お気に入りの銘柄を改めて購入する安心感もまた良いものです。

木川屋では発送サービスを利用できるため、荷物を増やさずに購入できました。

帰宅後に届いた麓井の圓を飲みながら酒田の旅を振り返る時間も、旅の楽しみの一部だと思います。

地酒を楽しみながら、本間家との意外なつながりを知る

いろは蔵パークで地酒を試飲していると、この場所の歴史について思い出しました。

現在のいろは蔵パークは、かつて酒田商業高校があった場所です。

さらに歴史をさかのぼると、この地には庄内藩の年貢米を保管していた「新井田蔵」がありました。

48棟もの米蔵が並んでいたことから「いろは四十八蔵」と呼ばれ、現在の施設名「いろは蔵パーク」の由来にもなっています。

明治時代に新井田蔵が焼失した後、この土地は本間家の所有となりました。

そして大正6年(1917年)、本間家七代・本間光輝が商業学校の校舎建設用地として跡地を寄贈したことで、後の酒田商業高校がこの場所に建てられたそうです。

酒田は古くから商業都市として発展してきました。

その歴史を支える人材を育てる学校のために土地を提供したというエピソードは、本間家が教育や地域社会の発展に尽力したことを象徴しているように感じます。

今回の旅では本間美術館や本間家旧本邸を訪れましたが、思いがけず立ち寄ったいろは蔵パークでも本間家とのつながりを発見することができました。

地酒の試飲を楽しむ場所として訪れた施設でしたが、その背景を知ると見え方が少し変わります。

米蔵だった場所が学校となり、そして現在は地域の人々や観光客が集う商業施設へと生まれ変わった。

いろは蔵パークは、酒田の歴史そのものを映し出している場所なのかもしれません。

山居倉庫のケヤキ並木と家族の思い出

いろは蔵パークで地酒を楽しんだ後は、同じ敷地内にあるスーパーといちやで、帰りの列車内で食べようと思い地元食材を使った弁当を購入、そして、庄内産「つや姫」を自宅へ発送し、酒田観光を代表する名所である山居倉庫へ向かいました。

ここでレンタサイクルを返却し、以降は徒歩とバスで移動することにしました。

山居倉庫は酒田を代表する観光スポットであり、私自身、帰省するたびに足を運んできたお気に入りの場所です。

山居倉庫といえば黒い米蔵群が有名ですが、私が特に好きなのはケヤキ並木です。

春には新緑、夏には深い緑、秋には紅葉、そして冬には雪景色。

季節ごとに表情を変えるケヤキ並木と、黒い板張りの米蔵とのコントラストは何度見ても美しいと思います。

今回訪れたときも、思わず足を止めてしばらく眺めてしまいました。

そして、この場所へ来るたびに思い出す一枚の写真があります。

父がまだ車いすで外出できていた頃のことです。

父、母、兄、私、そして孫たち。

家族みんなで山居倉庫を訪れ、ケヤキ並木を背景に記念写真を撮りました。

当時は何気なく撮った一枚でした。

しかし今になって振り返ると、その写真は家族全員がそろった貴重な記録になっています。

父も母もすでに他界し、子どもたちも成長しました。

それでもあの日の写真だけは変わらず残っています。

実はその写真を、私は今も自宅の机の上に置いています。

仕事や読書をしていると自然に目に入る場所です。

酒田から遠く離れた場所で暮らしていても、その写真を見るたびに家族との時間や故郷の風景を思い出します。

今回の帰省は母の三回忌がきっかけでした。

本間家の歴史をたどりながら酒田の町を巡る旅でもありましたが、振り返ってみると、それ以上に家族の記憶をたどる旅だったのかもしれません。

ケヤキ並木を吹き抜ける風を感じながら、そんなことを考えていました。

るんるんバスで酒田駅前へ

月のホテル客室から見る酒田駅

買い物を終えた後は、山居倉庫周辺からるんるんバスに乗車しました(200円)。

酒田市内を巡回するコミュニティバスで、観光客でも利用しやすい交通手段です。

今回の旅ではレンタサイクル(無料)が大活躍しましたが、最後はバスを利用することで体力的にも楽に移動できました。

このコースの良い点は、歴史・食・地酒・景観という酒田の魅力を一日で効率よく体験できることです。
また、レンタサイクルとるんるんバスを活用することで、自家用車がなくても十分に観光できます。
特に、いろや蔵パークで地酒を試飲した後は自転車に乗ることができませんので、直ぐ近くの山居倉庫にある観光案内所でレンタサイクルを返却し、ほろ酔い気分に浸りながら、るんるんバスで酒田駅まで戻りました。
酒田は有名観光地のような混雑が少なく、自分のペースでゆっくり巡れる点も魅力です。本間家ゆかりの歴史に触れながら港町の風景を楽しみ、最後は庄内の地酒をお土産に持ち帰る。そんな充実した一日を過ごすことができました。

月のホテルで荷物を受け取る

酒田駅前に到着したら、まず月のホテルへ向かいました。

朝預けておいた荷物を受け取るためです。

改めて感じたのは、月のホテルの利便性の高さでした。

駅直結という立地に加え、チェックアウト後も荷物を預かってもらえるため、観光中のストレスがほとんどありません。

もし再び酒田を訪れる機会があれば、また利用したいと思えるホテルです。

客室の快適さや朝食の満足度も高く、酒田観光の拠点として非常に優秀でした。

後で知ったことですが、月のホテルのレストランではテイクアウト用の松花堂弁当(2,200円(税込))を準備していただけるそうです。完全予約制で、受取希望日の2日前まで予約が必要とのことでした。

特急いなほ最終で帰路へ

荷物を受け取った後は酒田駅へ。

帰路は18:18酒田発の特急いなほを利用しました。

日本海沿いを走る車窓を眺めながら、いろは蔵パークのスーパーといちやで購入した弁当と木川屋で購入した地酒(麓井の圓)を味わいながら新潟へ向かいます。

旅の終わりは少し寂しく感じるものですが、それだけ充実した時間を過ごせた証拠でもあります。

新潟駅で上越新幹線に乗り換え、東京駅へ戻りました。

まとめ|酒田観光は歴史・食・地酒を一度に楽しめる

今回の酒田観光では、

・本間美術館
・日枝神社
・光丘神社
・旧光丘文庫
・日和山公園
・さかた海鮮市場(昼食・海鮮丼)
・本間家旧本邸
・いろは蔵パーク
・山居倉庫
・木川屋

を巡りました。

本間家が築いた歴史と文化、北前船交易によって発展した港町の面影、そして庄内地方が誇る地酒や食文化。

酒田には他の観光地にはない独特の魅力があります。

今回利用した月のホテルは、駅直結という立地に加え、レンタサイクルや荷物預かりサービスが利用でき、観光拠点として非常に便利でした。

酒田を初めて訪れる方はもちろん、歴史好きや地酒好きの方にもおすすめできるモデルコースです。

次回は鳥海山エリアや庄内町、鶴岡方面にも足を延ばしてみたいと思います。

歴史と文化が息づく港町・酒田。

ぜひ一度訪れて、その魅力を体感してみてください。

実際に宿泊した月のホテルは観光拠点として非常に便利だった

今回の酒田旅行では、酒田駅前にある月のホテルに宿泊しました。

結論からいうと、酒田観光の拠点として非常に使いやすいホテルでした。

最大の魅力は、酒田駅に隣接している立地です。

特急いなほで到着してすぐにホテルへ向かうことができ、チェックアウト後も荷物を預かってもらえるため、観光中は身軽に行動できます。

今回のようにレンタサイクルを利用して市内を巡る場合でも、大きな荷物を持ち歩く必要がなく快適でした。

客室は新しく清潔感があり、落ち着いた雰囲気です。

観光で歩き回った後でもゆっくり休むことができました。

また、館内には酒田市立図書館が併設されており、一般的なビジネスホテルにはない独特の魅力があります。

旅先で地元の歴史や文化に触れながら過ごせるのも月のホテルならではです。

朝食も評判どおり充実していました。

庄内産の食材を活かした料理が並び、地元ならではの味覚を楽しめます。

観光前にしっかり食事をとれるため、一日を気持ちよくスタートできました。

今回巡った本間美術館、本間家旧本邸、日和山公園、山居倉庫などは、いずれも自転車でアクセスしやすい距離にあります。

酒田を初めて訪れる方はもちろん、鉄道旅行で酒田を訪れる方にもおすすめできるホテルです。

酒田観光を計画している方は、ぜひ月のホテルを拠点に歴史と文化、そして庄内の食を満喫してみてください。

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