9月決算の商社セクター11社!業績が良い銘柄は?(2018)

商社

今回は、2018年9月に決算期を迎え、すでに決算発表を終えた商社セクター11社を対象に、

各企業の決算短信と、過去の有価証券報告書を元に、

3年間の財務データを抽出し、8つの指標を求め、

それらを元にポジショニング分析を行うことで、

11社の位置取りと、業績推移を視覚的に捉え、業績の良い銘柄を明らかにします。

対象となるのは、2874 横浜冷凍/ 3176 三洋貿易/ 3323 レカム/ 3359 タイセイ/ 7446 東北化学薬品/ 7505 扶桑電通/ 7539 アイナボHD/ 7648 トーカン/ 7819 SHO-BI/ 8151 東陽テクニカ/ 9869 加藤産業、です。

9月決算の商社セクター11社!3年間のポジショニングの動きでわかることは?

ポジショニングマップ上に示した11社の3年間のポジション変化を見ることができれば、他社との相対的な位置関係と、その位置取りの変化、加えて、その変化が業績に対してどのような意味を持つのかが明らかとなり、結果として、業績の良し悪しと共に、どの銘柄が投資検討先として適しているのかを、視覚的・直感的に、判断することができるようになります。

今回分析対象とした11社とは?

2874 横浜冷凍/ 3176 三洋貿易/ 3323 レカム/ 3359 タイセイ/ 7446 東北化学薬品/ 7505 扶桑電通/ 7539 アイナボHD/ 7648 トーカン/ 7819 SHO-BI/ 8151 東陽テクニカ/ 9869 加藤産業

各銘柄の特徴は?

2874 横浜冷凍

食品販売の規模大きいが、ニチレイに次ぐ冷蔵倉庫が利益柱。食品販売は水産品、畜産物が主

3176 三洋貿易

ゴム・化学品商社。営業員の4割が技術系でメーカー機能も有す。自動車向け主軸。海外強化中

3323 レカム

中小企業向けにIP電話など情報機器販売。業務受託(BPO)は日本で受注、中国現法が運営

3359 タイセイ

和洋菓子店、弁当店などに包装資材、食材を小ロットで通信販売。個人向けネット販売を拡大

7446 東北化学薬品

工業薬品、試薬、関連機器が主力の商社。食品添加物も扱う。バイオ事業にも進出。東北が地盤

7505 扶桑電通

ネットワーク、ソリューション、ファシリティの三つが柱。全国54拠点。富士通系ディーラー

7539 アイナボHD

タイル、空調など住宅設備機器の販売、工事で業界首位。施工力の高さが強み。関東で高シェア

7648 トーカン

東海地盤の食品卸大手。最大顧客ユニー系のファミマ統合で商流細る。国分中部と経営統合協議

7819 SHO-BI

卸から発した化粧・服飾雑貨のファブレスメーカー。キャラクター品に強い。中国市場開拓注力

8151 東陽テクニカ

エレクトロニクス中心に計測器を扱う。輸入が主体の専門商社。企業、官庁の研究開発用に強み

9869 加藤産業

食品卸で4位。独立色強い。関西に強い地盤持ち全国展開。食品で自社ブランド。海外進出希求

(以上、Yahooファイナンスの企業情報より引用)

9月決算の商社セクター11社!3年間の業績をマーケティング分析手法を使って分析した結果は?

9月決算の商社セクター11社を分析する指標は8つ(ROA、ROE、売上高経常利益率、総資産回転率、自己資本比率、売上高成長率、キャッシュフローマージン、フリーキャッシュフロー)です。

8つの指標を選んだ理由については、マーケティング分析手法を応用した株スクリーニングに使用する8つの指標は?で説明していますので、そちらを参考にしてください。

そして、今回の分析対象期間は、2016年度、2017年度、2018年度です。

9月決算の商社セクター11社!その3年間のポジショニングの変化は?

11社の3期分の財務データから8つの指標を算出し、マーケティング分析手法の一つである因子分析を実施。

その因子得点を求め、ポジショニングマップ上に示しました。

は2016年度、は2017年度、は2018年度を示しています。

ポジショニングマップは、横軸の右方向に行けばいくほど、総合力が強く、収益性が高いことを示しており、縦軸の上方向へ行けばいくほど、安定性が高く、下方向へ行けばいくほど効率性が高いことを示しています。

そして、中心にあれば、11社全体の中で平均的な業績であることを意味します。

この後、個別の銘柄ごとにポジション変化の状況と、業績変化との関係を見ていきます。

各銘柄のポジショニングに変化は?

2874 横浜冷凍

ポジショニングマップは、中心点付近にあり、11社の中では平均的な業績であることを示しています。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20163.7%4.8%3.6%102.3%42.7%-4.0%4.1%-18.9
20173.1%5.2%3.4%91.6%39.4%7.0%-4.4%-18.1
20182.9%4.6%3.1%92.0%41.5%8.0%7.0%-13.4

指標は、成長性を示す売上高が2016年度には減少していますが、2017年度と2018年度は増加しています。

総合力を示すROA、収益性を示す経常利益率が下降傾向にあります。

また、同社は中期経営計画の修正を発表しており、目標となる売上高、利益を減額しています。

 

3176 三洋貿易

ポジショニングマップは、右上側エリアに位置し、11社の中で相対的に総合力が強く、収益性と安定性が高いことを示しています。

3年間のポジションにほとんど変化がなく、業績的には安定していると考えられます。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

201613.2%14.1%7.1%184.6%62.7%-1.3%5.0%1.8
201713.5%15.2%7.8%173.7%61.1%13.1%0.3%-1.2
201813.4%14.5%7.1%188.0%63.3%15.8%2.0%1.2

指標は、成長性を示す売上高が2016年度に減少していますが、2017年度、2018年度は増加しています。

総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率は安定的に推移しています。

個別業績が上方修正されるのと併せ、配当金の増額が発表されており、好調な業績であると言えると思います。

3323 レカム

ポジショニングマップは、左上側エリアから、右上側エリアに移動する動きになっており、これはポジショニング分析における最高のポジション移動の形と言えます。

2016年度は、11社の中で総合力が弱く、収益性が低い状態だったのですが、2017年度に右上側エリアに移動したことで、総合力が強く、収益性が高くなり、2018年度には、更に右方向へ移動することで、より総合力が強く、収益性が高くなっていることになります。

順調に業績を上げ続けていることを示しています。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20163.7%4.7%2.2%169.9%54.6%18.9%4.8%0.1
20178.2%9.2%5.0%162.6%51.8%16.2%6.9%0.2
201810.7%13.3%8.6%123.7%50.1%42.0%3.4%-0.7

指標は、成長性を示す売上高が年々大きな伸びを示しています。

総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率が、年々上昇しています。

年々業績を伸ばしていることがわかりますし、ポジショニングマップ上での右への移動を裏付ける結果になっています。

増配となっていますし、来期も増配予想となっており、業績予想も大きな伸びとなっています。

 

3359 タイセイ

ポジショニングマップは、右上側エリアに位置し、年々右方向へ移動する動きになっています。

11社の中では相対的に収益性や安定性が高く、総合力も強くなっていることを示しています。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20164.8%8.5%4.2%116.5%47.3%8.1%4.2%0
20177.6%11.5%5.5%139.3%50.6%24.3%2.9%0.1
20188.8%14.5%6.0%146.1%58.7%4.0%5.6%0.4

指標は、成長性を示す売上高が、年々大きく伸ばしています。

総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率が、年々上昇しています。

順調に業績を上げ続けていることがわかりますし、ポジショニングマップの右方向への動きを裏付ける結果となっています。

 

7446 東北化学薬品

ポジショニングマップは、左下側エリアに位置し、11社の中では相対的に、収益性が低く、総合力が弱い一方で、効率性が高いことを示しています。

また、年々右方向へ移動する動きになっていますので、業績は改善の方向にあると言えると思います。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20161.8%2.6%0.8%227.4%36.0%1.8%-1.0%-0.2
20171.6%2.7%0.8%206.3%33.4%2.5%3.7%1.2
20182.1%5.9%1.0%204.1%34.0%2.8%1.1%0.5

指標は、成長性を示す売上高が、年々増加しています。

総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率は2018年度に上昇しています。

また、効率性を示す総資産回転率が高い数値を示しています。

以上の結果から、安定した業績であると言えると思います。

当期純利益が前回公表予想を上回ったことから、増配を発表しています。

 

7505 扶桑電通

ポジショニングマップは、左下側エリアに位置し、11社の中では相対的に、収益性が低く、総合力が弱い一方で、効率性が高いことを示しています。

年々、左方向へ移動していますので、業績が悪化方向にあると言えると思います。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20162.9%4.3%1.7%166.0%31.3%-17.4%0.8%-0.8
20172.1%4.6%1.3%158.6%33.6%-1.6%2.5%0.9
2018-0.2%1.3%-0.1%158.5%34.3%-2.5%-1.4%-0.3

指標は、成長性を示す売上高が、年々減少しています。

その影響で、総合力を示すROA、収益性を示す経常利益率が、2018年度にはマイナスとなり、ROEは低下しています。

業績予想も下方修正しています。

7539 アイナボHD

ポジショニングマップは、ほぼ中心にありますので、11社の中では平均的な業績であることを示しています。

また、ポジションの動きがほとんどありませんので、業績に関する指標はほとんど変化がないことが伺えます。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20166.1%6.9%3.1%196.1%55.0%7.8%3.3%1.4
20176.4%7.6%3.4%189.4%55.4%2.9%2.8%1.6
20185.2%6.0%2.7%193.8%58.4%1.2%0.9%0.5

指標は、成長性を示す売上高が、年々増加しています。

総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率は安定的に推移しています。

 

7648 トーカン

ポジショニングマップは、左下側エリアにありますので、11社の中では相対的に総合力が弱く、収益性が低い一方で、効率性が高いことを示しています。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20163.6%6.7%1.2%295.2%36.1%5.7%1.4%2.4
20171.7%1.7%0.6%274.7%35.7%-5.9%2.2%3.2
20181.5%2.9%0.6%258.8%37.2%-8.3%0.5%1.0

指標は、成長性を示す売上高が、2016年度は増加していますが、2017年度、2018年度は減少しています。

総合力を示すROA、ROEが年々低下し、収益性を示す経常利益率は、低い数値となっています。

一方で、効率性を示す総資産回転率は高い数値となっています。

 

7819 SHO-BI

ポジショニングマップは、左下側エリアにありますので、11社の中では相対的に総合力が弱く、収益性が低いことを示しています。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20162.4%3.5%1.8%132.0%36.8%9.4%6.8%1.7
20173.3%3.8%2.5%133.2%40.4%-3.9%0.6%0.5
20181.8%1.8%1.3%137.9%41.0%3.6%2.3%0.2

指標は、成長性を示す売上高が、2016年度は増加していますが、2017年度は減少し、2018年度は増加しています。

総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率は、2018年度に低下しています。

 

8151 東陽テクニカ

ポジショニングマップは、左上側エリアにありますので、11社の中では相対的に総合力が弱く、収益性が低い一方で、安定性が高いことを示しています。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20164.2%3.0%6.4%65.0%86.3%3.3%6.3%1.6
20173.1%1.7%4.8%64.0%86.1%-0.4%4.9%-0.1
20184.1%4.1%6.1%67.7%86.1%9.3%4.8%1.3

指標は、成長性を示す売上高が、2016年度は増加していますが、2017年度は減少し、2018年度は増加しています。

総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率は、比較的安定的に推移しています。

 

9869 加藤産業

ポジショニングマップは、左下側エリアにありますので、11社の中では相対的に総合力が弱く、収益性が低い一方で、効率性が高いことを示しています。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20163.0%5.1%0.9%312.7%33.5%2.9%1.0%2.8
20173.1%6.4%1.1%287.1%32.5%2.2%1.2%10.5
20183.2%6.1%1.1%279.1%32.6%3.6%1.1%6.1

指標は、成長性を示す売上高が、年々安定的に増加しています。

総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率は年々安定的に推移していますが、経常利益率の低さが気になります。

一方で、効率性を示す総資産回転率は高い数値となっています。

9月決算の商社セクター11社!ポジショニング分析から見えてきたことは?

ポジショニング分析では、マップ上の位置と、3年間のポジションの変化を見て、2018年度が中心より右側に位置していれば、今回分析の11社の中で収益性が高く、総合力が強いことを示しています。

また、3年間のポジションの変化が、左から右へと移動していれば、収益性は高く、総合力は強くなってきていると判断できます。

ポジショニングマップ上で右側に位置している銘柄は?

3176 三洋貿易、3323 レカム、3359 タイセイが該当します。

ポジショニングマップ上で3年間のポジションが左から右へと移動している銘柄は?

レカム、3359 タイセイが該当します。

 

ポジショニング分析から見たおススメの銘柄は?

以上、2つの視点両方に該当する銘柄はレカム、3359 タイセイが該当します。

この銘柄は、共に、右方向への移動が顕著に現れており、業績を伸ばしていることが良くわかります。

 

今回は、レカム、3359 タイセイ、2銘柄がポジショニング分析から見たおススメの銘柄になります。

 

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