9月決算の建設セクター5社!業績が良い銘柄は?(2018)

建設

今回は、2018年9月に決算期を迎え、すでに決算発表を終えた建設セクター5社を対象に、

各企業の決算短信と、過去の有価証券報告書を元に、

3年間の財務データを抽出し、8つの指標を求め、

それらを元にポジショニング分析を行うことで、

5社の位置取りと、業績推移を視覚的に捉え、業績の良い銘柄を明らかにします。

対象となるのは、1438 岐阜造園/ 1743 コーアツ工業/ 1783 アジアゲートHD/ 1789 ETSHD/ 1795 マサル、です。

9月決算の建設セクター5社!3年間のポジショニングの動きでわかることは?

ポジショニングマップ上に示した5社の3年間のポジション変化を見ることができれば、他社との相対的な位置関係と、その位置取りの変化、加えて、その変化が業績に対してどのような意味を持つのかが明らかとなり、結果として、業績の良し悪しと共に、どの銘柄が投資検討先として適しているのかを、視覚的・直感的に、判断することができるようになります。

今回分析対象とした5社とは?

1438 岐阜造園/ 1743 コーアツ工業/ 1783 アジアゲートHD/ 1789 ETSHD/ 1795 マサル

各銘柄の特徴は?

1438 岐阜造園

造園緑化専業で唯一の上場会社。設計・施工・メンテの一貫体制、主要営業地盤は東海と関西

1743 コーアツ工業

橋梁工事中心の中堅。官公需8割。九州地盤。プレストレストコンクリ技術に定評。健食通販も

1783 アジアゲートHD

土木会社からスタートし業態転換。北海道、広島県等でのゴルフ場運営、建設関連軸に再建中

1789 ETSHD

送電線、内線工事が主体だが、通信向けも育成。電力は東北電力が主要発注先。建物管理事業も

1795 マサル

ビル、マンション等のシーリング(外壁防水)工事でトップ。リニューアル(補修・改修)を強化

(以上、Yahooファイナンスの企業情報より引用)

9月決算の建設セクター5社!3年間の業績をマーケティング分析手法を使って分析した結果は?

9月決算の建設セクター5社を分析する指標は8つ(ROA、ROE、売上高経常利益率、総資産回転率、自己資本比率、売上高成長率、キャッシュフローマージン、フリーキャッシュフロー)です。

8つの指標を選んだ理由については、マーケティング分析手法を応用した株スクリーニングに使用する8つの指標は?で説明していますので、そちらを参考にしてください。

そして、今回の分析対象期間は、2016年度、2017年度、2018年度です。

9月決算の建設セクター5社!その3年間のポジショニングの変化は?

5社の3期分の財務データから8つの指標を算出し、マーケティング分析手法の一つである因子分析を実施。

その因子得点を求め、ポジショニングマップ上に示しました。

は2016年度、は2017年度、は2018年度を示しています。

ポジショニングマップは、横軸の右方向に行けばいくほど、収益性が高く、総合力が強いことを示しており、縦軸の上方向へ行けばいくほど、キャッシュを稼ぐ力が強いことを示しています。

そして、中心にあれば、5社全体の中で平均的な業績であることを意味します。

この後、個別の銘柄ごとにポジション変化の状況と、業績変化との関係を見ていきます。

各銘柄のポジショニングに変化は?

1438 岐阜造園

ポジショニングマップは、右側エリアに位置し、5社の中で相対的に収益性が高く、総合力が強いことを示しています。

2016年度から2017年度にかけて、左側へ移動し、2018年度には上方向へ移動しています。

このことは、収益性が低く、総合力が弱くなり、そして、キャッシュを稼ぐ力は強くなっていることを示しています。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

201614.9%17.9%10.6%140.5%59.5%-2.7%4.5%0.2
20177.3%8.7%6.5%112.1%68.4%-6.1%4.2%0.1
20187.4%7.4%6.8%108.0%69.3%-1.5%7.2%0.3

指標は、成長性を示す売上高が年々減少してます。

そのため、総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率が、低下傾向にあります。

一方で、キャッシュフローマージンは2018年度に上昇しています。

総合力指標と収益性指標の低下傾向が、ポジショニングマップにおける左側への移動に現れ、このキャッシュフローマージンの推移が、ポジショニングマップにおける2017年度から2018年度にかけて上方向へ移動したことを裏付けています。

 

1743 コーアツ工業

ポジショニングマップは、左側エリアに位置していますので、5社の中で相対的に収益性が低く、総合力が弱いことを示しています。

2016年度から2018年度にかけて右上方向へ移動する動きになっていますので、これが、収益性や総合力は改善し、キャッシュを稼ぐ力も強くなってきていると判断できます。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20160.6%-1.1%0.9%70.6%60.9%-6.6%-2.8%-0.3
20172.9%4.9%3.5%82.7%56.7%33.2%8.4%0.3
20183.7%3.8%4.3%85.1%57.0%5.8%7.6%0.6

指標は、成長性を示す売上高が2016年度に減少しているのですが、2017年度、2018年度は増加しています。

総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率も上昇傾向にあります。

キャッシュフローマージンも、2016年度はマイナスでしたが、2017年度、2018年度とプラスになっています。

増配となっていますが、業績は良くなってきているとは言え、収益性が低い状況にありますので、今後もこの収益性の改善状況を見ていきたいと思います。

 

1783 アジアゲートHD

ポジショニングマップは、右下側エリアから、左下側エリアへ、そして、右上側エリアへと年々移動しています。

2016年度から2017年度にかけて業績が悪化したように考えられますが、その後、2018年度にかけて急に改善した動きとなっています。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20162.6%3.4%6.3%41.9%84.5%35.6%-9.0%-2
20170.1%0.4%0.2%40.6%78.3%5.9%-10.5%-0.1
20186.1%6.6%10.2%59.4%72.0%69.2%23.5%1.4

指標は、成長性を示す売上高が年々増加していますが、2016年度、2018年度には急増しています。

総合力、収益性ともに2017年度にはゼロ近くにまで悪化していますが、2018年度には大きく改善しています。

これは、連結子会社の不動産売却という大型取引による効果が大きいようです。

 

1789 ETSHD

ポジショニングマップは、2016年度から2017年度にかけて左側エリアから右上側エリアへ移動し、5社の中では相対的に収益性が高く、総合力も強くなりましたが、2018年度には収益性が低く、総合力も弱く、そして、キャッシュを稼ぐ力も弱くなっていることを示しています。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20165.2%12.9%3.4%152.3%44.8%91.3%2.0%0.1
201711.8%10.2%7.9%150.6%56.9%-15.0%13.3%0.9
20184.4%5.0%2.9%151.8%52.3%13.5%-15.0%-1

指標は、成長性を示す売上高が、2016年度に急増していますが、2017年度に減少、2018年度には増加しています。

総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率も2018年度に低下しており、キャッシュフローマージンはマイナスとなっています。

このキャッシュフローマージンがマイナスになったことが、ポジショニングマップの2018年度の位置取りとして現れています。

 

1795 マサル

ポジショニングマップは、右側エリアから左側エリアへ移動する動きになっていますので、年々、5社の中では相対的に、収益性が低く、総合力も弱くなってきていることを示しています。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20167.8%11.7%6.0%128.8%45.5%-3.8%4.9%0.5
20175.8%6.3%5.2%111.0%44.6%-8.4%0.7%0.2
20184.2%7.3%4.0%105.0%45.6%-6.3%3.0%-0.1

指標は、成長性を示す売上高が、年々減少してます。

総合力を示すROA、収益性を示す経常利益率が年々低下しています。

 

9月決算の建設セクター5社!ポジショニング分析から見えてきたことは?

ポジショニング分析では、マップ上の位置と、3年間のポジションの変化を見て、2018年度が中心より右側に位置していれば、今回分析の5社の中で収益性が高く、総合力が強いことを示しています。

また、3年間のポジションの変化が、左から右へと移動していれば、収益性は高く、総合力は強くなってきていると判断できます。

ポジショニングマップ上で右側に位置している銘柄は?

1438 岐阜造園、1783 アジアゲートHDが該当します。

ポジショニングマップ上で3年間のポジションが左から右へと移動している銘柄は?

該当する銘柄がありませんでした。

 

ポジショニング分析から見たおススメの銘柄は?

以上、2つの視点両方に該当する銘柄はありませんでした。

残念な結果ではありますが、今後も、このポジショニング分析の手法を使って、業績が良く、投資検討に値する銘柄をスクリーニングしていきます。

 

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