今回は、2018年9月に決算期を迎え、すでに決算発表を終えた小売セクター8社を対象に、
各企業の決算短信と、過去の有価証券報告書を元に、
3年間の財務データを抽出し、8つの指標を求め、
それらを元にポジショニング分析を行うことで、
8社の位置取りと、業績推移を視覚的に捉え、業績の良い銘柄を明らかにします。
対象となるのは、2652 まんだらけ/ 3328 BEENOS/ 3545 デファクトスタンダード/ 3556 リネットジャパングループ/ 3726 フォーシーズHD/ 7494 コナカ/ 7646 PLANT/ 9823 マミーマート、です。
9月決算の小売セクター8社!3年間のポジショニングの動きでわかることは?
ポジショニングマップ上に示した8社の3年間のポジション変化を見ることができれば、他社との相対的な位置関係と、その位置取りの変化、加えて、その変化が業績に対してどのような意味を持つのかが明らかとなり、結果として、業績の良し悪しと共に、どの銘柄が投資検討先として適しているのかを、視覚的・直感的に、判断することができるようになります。
今回分析対象とした8社とは?
2652 まんだらけ/ 3328 BEENOS/ 3545 デファクトスタンダード/ 3556 リネットジャパングループ/ 3726 フォーシーズHD/ 7494 コナカ/ 7646 PLANT/ 9823 マミーマート
各銘柄の特徴は?
2652 まんだらけ
漫画専門古書店の最大手。アニメ原画・玩具販売も。独自の値付け・鑑定で市場影響力大きい
3328 BEENOS
主力は越境EC事業。ブランド品の宅配買い取りや国内外でのベンチャー投資・育成事業も展開
3545 デファクトスタンダード
インターネットによるリユース衣料品、装飾品の買い取り、販売専業。親会社はBEENOS
3556 リネットジャパングループ
中古買い取り・販売の「ネットオフ」展開、古本から総合化、PCなど小型家電リサイクルも併営
3726 フォーシーズHD
IT発祥。買収で化粧品・健康食品の通販会社に。17年6月カラーコンタクトレンズ事業を売却
7494 コナカ
紳士服業界3位。郊外型で関東、東北中心。傘下に九州のフタタ。都市型「スーツセレクト」を育成
7646 PLANT
郊外で衣食住を格安販売する超大型スーパーセンターを運営。北陸地盤に近畿などにも展開
9823 マミーマート
埼玉地盤の食品スーパー。主力「マミーマート」に加え生鮮強化店、ディスカウント店も展開
(以上、Yahooファイナンスの企業情報より引用)
9月決算の小売セクター8社!3年間の業績をマーケティング分析手法を使って分析した結果は?
9月決算の小売セクター8社を分析する指標は8つ(ROA、ROE、売上高経常利益率、総資産回転率、自己資本比率、売上高成長率、キャッシュフローマージン、フリーキャッシュフロー)です。
8つの指標を選んだ理由については、マーケティング分析手法を応用した株スクリーニングに使用する8つの指標は?で説明していますので、そちらを参考にしてください。
そして、今回の分析対象期間は、2016年度、2017年度、2018年度です。
9月決算の小売セクター8社!その3年間のポジショニングの変化は?
8社の3期分の財務データから8つの指標を算出し、マーケティング分析手法の一つである因子分析を実施。
その因子得点を求め、ポジショニングマップ上に示しました。
◆は2016年度、■は2017年度、▲は2018年度を示しています。
ポジショニングマップは、横軸の右方向に行けばいくほど、収益性が高いことを示しており、縦軸の上方向へ行けばいくほど、効率性が高く、総合力(ROA)が強いことを示しています。
そして、中心にあれば、8社全体の中で平均的な業績であることを意味します。
この後、個別の銘柄ごとにポジション変化の状況と、業績変化との関係を見ていきます。
各銘柄のポジショニングに変化は?
2652 まんだらけ
ポジショニングマップは、右側エリアに位置し、8社の中で相対的に収益性が高い一方で、効率性は低く、総合力は弱いことを示しています。
3年間のポジション変化はほとんどありませんので、安定した収益構造であることが伺えます。
この後、指標面で検証していきます。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2016 | 4.3% | 6.3% | 6.7% | 63.6% | 41.2% | -0.4% | 4.0% | 0.1 |
2017 | 4.7% | 6.7% | 7.2% | 65.0% | 43.0% | 4.5% | 4.2% | 0.1 |
2018 | 4.4% | 6.4% | 6.7% | 65.1% | 44.5% | 2.9% | 5.7% | 0.5 |
指標は、成長性を示す売上高が2016年度に微減となっていますが、2017年度と2018年度は増加してます。
総合力を示すROA、ROEと収益性を示す経常利益率は、2017年度に上昇していますが、2018年度には低下しています。
ポジションの移動も小さかったためか、指標面での変化も緩やかであり、安定した収益構造であると言えると思います。
3328 BEENOS
ポジショニングマップは、右上側エリアに位置していますので、8社の中で相対的に収益性が高く、効率性が高く、総合力が強いことを示しています。
2016年度から2018年度にかけて右方向へ移動する動きになっていますので、年々収益性が高まっていることを判断できます。
この後、指標面で検証していきます。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2016 | 9.2% | 15.5% | 6.3% | 146.8% | 51.1% | 13.5% | 8.0% | 1.4 |
2017 | 10.5% | 13.9% | 7.5% | 140.4% | 53.2% | 7.7% | 2.0% | 0.2 |
2018 | 11.0% | 11.5% | 7.6% | 145.1% | 52.4% | 9.9% | -0.2% | -0.4 |
指標は、成長性を示す売上高が年々増加しています。
総合力を示すROA、収益性を示す経常利益率が年々上昇しており、ポジショニングマップの動きを裏付ける結果となっています。
3545 デファクトスタンダード
ポジショニングマップは、左上側エリアから、右上側エリアへ、そして、左上側エリアへと年々移動しています。
それほど大きなポジションの変化ではありませんので、業績面では安定した収益性であることが伺えます。
この後、指標面で検証していきます。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2016 | 8.3% | 10.0% | 3.3% | 252.4% | 81.7% | 11.7% | 3.1% | 0.3 |
2017 | 10.9% | 9.5% | 4.2% | 259.1% | 81.6% | 9.2% | 3.1% | 0.2 |
2018 | 9.9% | 8.5% | 3.7% | 266.1% | 83.2% | 10.0% | -3.0% | -0.5 |
指標は、成長性を示す売上高が年々増加しています。
総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率は、若干の変動はありますが、安定した数値であると言えます。
3556 リネットジャパングループ
ポジショニングマップは、2016年度から2017年度、2018年度にかけて右上側エリアから左下側エリアへ移動し、8社の中では相対的に収益性が低く、効率性が低く、総合力も弱くなっていることを示しています。
この後、指標面で検証していきます。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2016 | 14.1% | 39.0% | 4.6% | 307.7% | 37.7% | 15.6% | 2.1% | 0 |
2017 | 1.9% | 9.6% | 1.3% | 153.0% | 35.4% | -0.6% | -1.6% | -0.2 |
2018 | 1.0% | 2.7% | 1.1% | 97.3% | 19.8% | 22.3% | -8.8% | -1.2 |
指標は、成長性を示す売上高が、2016年度に増加していますが、2017年度に減少、2018年度には増加しています。
総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率がいずれも悪化しています。
その理由として、カンボジア事業における決算処理の期ずれや、リサイクル事業における一時的なコスト増を挙げています。
特にカンボジア事業の決算処理期ずれの影響については、今期に解消するとして、その分、売上高、利益が増加する見通しです。
3726 フォーシーズHD
ポジショニングマップは、右側エリアから左側エリアへ移動する動きになっていますので、年々、8社の中では相対的に、収益性と効率性が低く、総合力も弱くなってきていることを示しています。
この後、指標面で検証していきます。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2016 | 8.1% | 10.1% | 6.0% | 134.3% | 39.7% | 81.6% | 5.7% | 0.2 |
2017 | 4.9% | 14.6% | 6.0% | 81.6% | 45.1% | -38.1% | 9.0% | 0.3 |
2018 | 0.8% | -3.2% | 1.1% | 70.9% | 45.1% | -15.7% | 4.1% | 0.3 |
指標は、成長性を示す売上高が、2016年度に急増した後、2017年度、2018年度と減少が続いています。
総合力を示すROA、収益性を示す経常利益率が低下し、ROEはマイナスとなっていますので、最終赤字であったことを示しています。
この理由として、新規顧客の獲得に苦戦したことや、販売促進や広告宣伝の先行投資による販売管理費の増加等で、想定していた売上高が確保できなかったことと、コスト増加による利益圧迫を挙げています。
7494 コナカ
ポジショニングマップは、左下側エリアに位置し、8社の中では相対的に、収益性と効率性が低く、総合力も弱いことを示しています。
この後、指標面で検証していきます。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2016 | 2.5% | -0.1% | 2.7% | 92.7% | 61.9% | 0.7% | 5.1% | 1.6 |
2017 | 3.3% | 1.9% | 3.6% | 91.0% | 63.9% | -2.2% | 3.7% | -0.2 |
2018 | 1.9% | -0.1% | 2.1% | 88.3% | 64.7% | -4.4% | 6.1% | 2.5 |
指標は、成長性を示す売上高が、2016年度に微増となった後、2017年度、2018年度と減少が続いています。
総合力を示すROAはプラスを確保していますが、ROEはマイナスに転じていますので、最終赤字であったことを示しています。
収益性を示す経常利益率が低下し、ROEはマイナスとなっていますので、最終赤字であったことを示しています。
理由として、天候不順等による売上高の減少に伴い営業利益が減少したことと、固定資産の減損処理をしたことを挙げています。
7646 PLANT
ポジショニングマップは、左側エリアに位置し、8社の中では相対的に、収益性が低いことを示しています。
この後、指標面で検証していきます。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2016 | 6.1% | 10.0% | 2.6% | 231.8% | 40.5% | 1.1% | 2.1% | 1.7 |
2017 | 3.8% | 1.3% | 1.6% | 231.7% | 41.1% | -1.2% | 2.6% | 2.0 |
2018 | 3.3% | 16.8% | 1.4% | 232.1% | 46.7% | 2.1% | 5.2% | 2.3 |
指標は、成長性を示す売上高が、2016年度に増加となった後、2017年度に減少、2018年度に増加となっています。
総合力を示すROA、収益性を示す経常利益率が、年々低下傾向にあります。
ROEは2018年度に16.8%と上昇していますが、この理由として、東日本大震災による被害を受けた状態である店舗に対する国からの損失補償金等や、自治体からの給付金収入があったことを挙げています。
9823 マミーマート
ポジショニングマップは、左側エリアに位置し、8社の中では相対的に、収益性が低いことを示しています。
この後、指標面で検証していきます。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2016 | 6.2% | 7.7% | 3.1% | 200.6% | 46.3% | 3.9% | 3.0% | -4.5 |
2017 | 5.9% | 7.6% | 3.2% | 183.9% | 44.7% | 2.0% | 8.5% | 1.5 |
2018 | 5.6% | -5.3% | 3.1% | 182.5% | 40.8% | 2.3% | 3.6% | 0.3 |
指標は、成長性を示す売上高が、年々増加しています。
総合力を示すROA、収益性を示す経常利益率は、安定的に推移していますが、ROEは2018年度にマイナスとなっています。
この理由として、収益性の低い店舗に対する固定資産の減損処理を行ったことで、特別損失が発生したことを挙げています。
9月決算の小売セクター8社!ポジショニング分析から見えてきたことは?
ポジショニング分析では、マップ上の位置と、3年間のポジションの変化を見て、2018年度が中心より右側に位置していれば、今回分析の8社の中で収益性が高く、総合力が強いことを示しています。
また、3年間のポジションの変化が、左から右へと移動していれば、収益性は高く、総合力は強くなってきていると判断できます。
ポジショニングマップ上で右側に位置している銘柄は?
2652 まんだらけ、3328 BEENOSが該当します。
ポジショニングマップ上で3年間のポジションが左から右へと移動している銘柄は?
3328 BEENOSが該当します。
ポジショニング分析から見たおススメの銘柄は?
以上、2つの視点両方に該当する銘柄は3328 BEENOSです。
この銘柄は、配当がありますし、株主優待制度を設けたこともプラスですね。
今回は、3328 BEENOSをポジショニング分析から見たおススメの銘柄にしたいと思います。
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