日経225・電気製品(第2弾)9社!3年間の財務データを元にポジショニング分析!!優良銘柄は??

投資

今回は、前回に引き続き日経225の「電気製品」セクター9社を対象に、3年間の財務データを元にポジショニング分析を行います。

前回分析した銘柄は、

3105 日清紡HD/ 6479 ミネベア/ 6501 日立製作所/ 6503 三菱電機/ 6504 富士電機/ 6506 安川電機/ 6674 GSユアサ/ 6701 NEC/ 6702 富士通、以上9社でした。

 

今回対象となるのは、

6703 OKI/ 6724 セイコーエプソン/ 6752 パナソニック/ 6758 ソニー/ 6762 TDK/6770 アルプス電気/6773 パイオニア/6841 横河電機/ 6857 アドバンテスト、以上9社となります。

 

まず最初に、半導体関連市場の動向について確認しておきます。

半導体関連市場の動向は?

エレクトロニクス業界ではスマートフォンの市場が成熟しつつある一方で、自動車やロボット、スマート工場、次世代インフラ、スマートスピーカーなどをはじめとしたホームエレクトロニクスにも注目が集まっています。

この大きな変化に共通した基盤技術としてAIと通信技術が挙げられます。

「IoT」はモノのインターネットということで脚光を浴びましたが、AIと通信技術によってモノがインテリジェント化することで「IoT」に本格的な価値が与えられています。
AIによって情報や言語、音声などさまざまなデータが解析・学習されますが、それに伴い処理されるデータ量が大幅に増加しており、メモリーの需要をけん引しています。

また高速処理や効率化も求められており半導体の微細化も加速させています。今後は画像データをはじめとしたリッチデータ処理の増加やブロックチェーン技術の広がりに伴い、加速度的にデータ量が増加するとみられ、微細化や大容量化はさらに求められていくと見られています。
本格的なAIの普及にとって、高度化された通信は非常に重要なインフラとなります。

実用化を目前に控えた5Gは、その高速かつ低遅延という特徴によりARや3D画像、自動運転、セキュリティ、産業分野などリアルタイム性が要求されるアプリケーションにおいて採用され、AIの導入とともに新市場を創出するものとして期待されています。

5Gに向けた技術開発は実用レベルに近づいており、CPUや通信デバイス、レーザーなどの化合物半導体の需要拡大にも寄与しています。
通信とAIにより、これまで通信とは無縁だった機器がネットワークにつながり始めています。これはエッジコンピューティングの重要性が高まっていることを示しています。

MEMSなどをベースにしたセンサー技術や低消費電力技術の進歩も目覚ましく、新しいセンサーを活用したサービスの創出も期待されており、エッジデバイス向けの半導体にも注目が集まっています。

(以上、富士キメラ総研HPより引用)

日経225・電気機器9社(第2弾)の3年間のポジショニングの動きでわかることは?

ポジショニングマップ上に示した9社の3年間のポジション変化を見ることができれば、他者との相対的な位置関係と、その位置取りの変化、加えて、その変化が業績に対してどのような意味を持つのか、が明らかとなり、そして、株価の動きとの関係について、自ら判断することができるようになります。

今回分析対象とした電気機器9社は?

今回対象としたのは、日経225採用銘柄で電気機器セクター27社のうちの9社です。

既に9社については、前回ブログで紹介していますので、今回は次の9社ということになります。

証券コードが若い順に選択しています。

6703 OKI/ 6724 セイコーエプソン/ 6752 パナソニック/ 6758 ソニー/ 6762 TDK/6770 アルプス電気/6773 パイオニア/6841 横河電機/ 6857 アドバンテスト

 

なお、次回分析する最後の9社は次のとおりです。

6902 デンソー/ 6952 カシオ計算機/ 6954 ファナック/ 6971 京セラ/ 6976 太陽誘電/ 7735 大日本スクリーン/ 7751 キヤノン/ 7752 リコー/ 8035 東京エレクトロニクス

 

各銘柄の特徴は?

6703 OKI

祖業の情報通信システムのほかプリンタ、ATM、EMSの4本柱。社会インフラシステム育成。

6724 セイコーエプソン

インクジェットプリンタ(IJP)国内首位級。インク消耗品が高採算。ビジネス用とにも進出。

6752 パナソニック

総合家電大手。AV機器、白モノ家電が主力。電池などのデバイス事業、照明、住宅設備も展開。

6758 ソニー

AV機器大手。海外でブランド力絶大。イメージセンサー、ゲーム、映画・音楽分野に重点。

6762 TDK

電子部品大手。収益柱はHDD用磁気ヘッド。コンデンサーなど受動部品、2次電池も展開。

6770 アルプス電気

電子部品大手。金型の精密加工技術に強み。売上高の6割が自動車関連。子会社にアルパイン等。

6773 パイオニア

家庭用AV機器、DJ機器から撤退。カーナビ、オーディオ等カーエレ専業に。新興国開拓。

6841 横河電機

工業計器首位。制御機器に重点。海外攻勢強める。国内制御の販売・サービス体制再編し分社化。

6857 アドバンテスト

半導体検査装置で世界シェア拡大、DRAMは首位。非メモリ用も有力。電子ビーム露光装置も。

(以上、Yahooファイナンスの企業情報より引用)

電気機器大手9社(第2弾)の3年間の業績をマーケティング分析手法を使って分析した結果は?

電気機器大手9社(第2弾)を分析する指標は8つ(ROA、ROE、売上高経常利益率、総資産回転率、自己資本比率、売上高成長率、キャッシュフローマージン、フリーキャッシュフロー)です。

8つの指標を選んだ理由については、マーケティング分析手法を応用した株スクリーニングに使用する8つの指標は?で説明していますので、そちらを参考にしてください。

そして、今回の分析対象期間は、2015年度、2016年度、2017年度です。

全銘柄が3月決算となっています。

 

電気機器大手9社(第2弾)の3年間のポジショニングの変化は?

電気機器大手9社(第2弾)の3期分の財務データから8つの指標を算出し、マーケティング分析手法の一つである因子分析を実施。

その因子得点を求め、ポジショニングマップ上に示しました。

は2015年度、は2016年度、は2017年度を示しています。

この後、個別に分析・検証します。

 

各銘柄のポジショニングの変化は?

6703 OKI

ポジショニングマップは、左上側エリアに位置し、2016年度に収益性が悪くなり、2017年度には回復しつつあるように見えます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資比率売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20152.8%5.8%2.3%119.1%25.9%-9.2%-0.7%-17.3
2016-0.7%4.6%-0.5%125.2%26.9%-7.9%9.3%49.6
20172.3%6.0%1.9%117.8%26.9%-3.0%3.6%5.1

指標を見ると、売上高が減少傾向を示しており、経常利益率はなんとかプラスに戻しているという状況です。

株価は、3年間の平均伸び率(CAGR)が-5.8%と下落しています。

6724 セイコーエプソン

ポジショニングマップは、右側エリアに位置し、年々左側へ移動していますので、収益性が悪くなっていることが窺えます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資比率売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20159.7%9.5%8.4%116.1%49.7%0.6%10.3%61.5
20166.9%10.1%6.6%105.2%50.5%-6.2%9.5%21.1
20176.1%8.3%5.7%106.7%49.6%7.5%7.6%9.6

指標は、2016年度に売上が減少していますが、2017年度には回復しています。しかし、経常利益率が下がってきており、このことからも収益力が低下しつつあることがわかります。

株価は、3年間の平均伸び率(CAGR)が+2.0%と低い伸びとなっています。

6752 パナソニック

ポジショニングマップは、左上側エリアから右上側エリアへと移りつつあります。

これは、今回実践しているポジショニング分析で示されている「左側エリアから右側エリアへ移りつつある銘柄の株価は上昇する」という法則性が再現された事例となりますが、株価を見ると、確かに3年間の平均伸び率(CAGR)が+21.3%と高い伸びを示しており、今回もこの法則が当たっていることを証明しました。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資比率売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20154.1%11.1%3.0%139.0%26.3%-1.2%5.5%125.6
20164.6%9.9%3.7%122.7%26.3%-3.7%5.2%-34.7
20176.0%14.4%4.7%126.9%27.1%8.7%5.3%-35.6

指標は、ROA、ROE、経常利益率が伸びてきています。

売上高は、2015年度、2016年度と減少していますが、2017年度には急回復する動きとなっています。

2016年度、2017年度と連続でフリーキャッシュフローがマイナスとなっていますので、大掛かりな投資があったことを示唆しています。

6758 ソニー

ポジショニングマップは、左下側エリアから右下側エリアへと移りつつあります。

これは、上述のパナソニック同様、今回実践しているポジショニング分析で示されている「左側エリアから右側エリアへ移りつつある銘柄の株価は上昇する」という法則性が再現された事例となりますが、株価を見ると、確かに3年間の平均伸び率(CAGR)が+33.4%と高い伸びを示しており、この銘柄でもこの法則が当たっていることを証明しました。

 

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資比率売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20151.8%6.2%3.8%48.6%14.8%-1.3%9.2%-281.3
20161.4%3.0%3.3%43.1%14.1%-6.2%10.6%-444.7
20173.7%18.0%8.2%44.8%15.6%12.4%14.7%432.8

指標は、ROA、ROE、経常利益率が伸びてきています。

売上高は、2015年度、2016年度と減少していますが、2017年度には急回復する動きとなっています。

2015年度、2016年度と連続でフリーキャッシュフローがマイナスとなっていますので、大掛かりな投資があったことを示唆しています。

6762 TDK

ポジショニングマップは、右下側エリアから左下側エリアへと移りつつあります。

 

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資比率売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20156.3%9.2%8.0%79.4%46.6%6.4%13.2%11.0
201612.7%19.8%18.0%70.8%47.7%2.3%13.6%89.0
20174.7%7.8%7.1%66.8%43.3%7.9%7.2%-154.8

指標は、2016年度の経常利益率が二ケタ台と急激に上昇しており、それがポジショニングマップ上の2016年度の位置取りに現れているようです。2017年度には一ケタ台へと戻っていますので、この反動の部分が、2017年度に左下側エリアへ移動してしまった要因になっているようです。

売上高は順調に伸びてきています。

株価は、3年間の平均伸び率(CAGR)が+23.9%と高い伸びを示しています。

6770 アルプス電気

ポジショニングマップは、右上側エリアに位置し、2015年度から2016年度にかけて左側に移動していますが、2017年度には2015年度のポジションを越えて、右側へ移動する動きになっています。

これは、2016年度に収益性が悪くなったが、2017年度に急回復し、収益力が過去2年間より良くなったことを示唆しています。

 

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資比率売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20158.9%19.1%6.5%137.5%40.6%3.4%7.0%23.6
20167.1%14.5%5.7%124.9%42.2%-2.7%5.5%3.6
20179.9%17.1%7.8%127.8%44.8%14.0%8.2%3.7

指標は、売上高が2016年度に減少し、経常利益率も下がっていますが、2017年度には売上高が二ケタ台の伸びを示し、経常利益率も良くなっています。

ポジショニング分析の場合、右側エリアで、より右側へ移動する動きのとき、株価は上昇する傾向にあるのですが、株価を見ると、3年間の平均伸び率(CAGR)が+15.3%と上昇しています。

6773 パイオニア

ポジショニングマップは、左上側エリアに位置し、年々左側へ移動しています。

これは、毎期収益力が弱くなっていることを示唆しているのですが、実際の指標は、売上高が3年連続の減少、ROA,ROE、経常利益率もマイナスに転じていますので、このポジションの動きに合致した結果となっています。

 

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資比率売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20152.4%0.8%1.6%150.9%28.7%-10.4%4.3%-0.8
20161.1%-6.0%0.8%137.2%29.3%-14.0%5.1%-14.4
2017-1.1%-8.7%-0.9%127.1%28.0%-5.5%4.4%-17.2

株価は、3年間の平均伸び率(CAGR)が-23.1%と下落しています。

6841 横河電機

ポジショニングマップは、右下側エリアに位置し、それほど大きな動きにはなっていません。

 

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資比率売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20159.9%13.2%9.8%100.2%58.2%2.0%7.7%21.0
20167.5%10.4%8.4%88.8%58.2%-5.4%10.0%2.7
20177.4%8.1%8.2%90.6%60.6%3.9%7.9%25.3

指標は、売上高が2016年度に減少していますが、2017年度には回復しています。

経常利益率は年々低下傾向にあります。

この業績だけ見ると、株価的には下げているように感じるのですが、実際には、3年間の平均伸び率(CAGR)は+37.5%と大きく上昇しています。

何か大きな受注があったとか、インパクトのあるニュースがあったのでしょうか。

6857 アドバンテスト

ポジショニングマップは、若干左下側エリアから右下側エリアへと2016年度に移り、2017年度には更に右側へと移動しています。

これは今回実践しているポジショニング分析で示されている「左側エリアから右側エリアへ移りつつある銘柄の株価は上昇する」という法則性が再現された事例となりますが、実際の株価も、3年間の平均伸び率(CAGR)は+46.3%と大幅な伸びを示しています。

 

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資比率売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20155.6%6.9%7.3%77.0%44.5%-1.0%4.8%5.3
20166.5%14.0%9.6%67.3%47.3%-3.8%10.2%12.3
20179.5%15.5%11.7%81.4%49.0%32.9%13.6%25.9

指標は、売上高は減少傾向にありましたが、2017年度に急回復し、ROA、ROE、経常利益率、自己資本比率、キャッシュフローマージン、フリーキャッシュフロー、が年々良くなってきています。

 

電気機器大手9社(第2弾)のポジショニング分析から見えてきたことは?

このポジショニング分析では、マップ上の左側のエリアから右側エリアへ移動しつつある銘柄の株価伸び率は高い、という法則があるのですが、今回、6752 パナソニック、6758 ソニー、6857 アドバンテストで見ることができました。

前回は、6501 日立、6506 安川電機、6702 富士通で見られました。

 

銘柄をスクリーニングする際の一つの目安として使える判断基準だと思います。

 

以上、日経225採用銘柄・電気機器セクターの9社(第2弾)を対象に、2015年度、2016年度、2017年度の財務データを元に、因子分析を実行の上、その結果(因子得点)をポジショニングマップ上に示し、銘柄ごとに解説しました。

 

次回は、日経225・電気機器セクター(第3弾) 最後の9社を対象に分析します。

コメント