9月決算の食品セクター4社!業績が良い銘柄は?(2018)

投資

今回は、2018年9月に決算期を迎え、すでに決算発表を終えた食品セクター4社を対象に、

各企業の決算短信と、過去の有価証券報告書を元に、

3年間の財務データを抽出し、8つの指標を求め、

それらを元にポジショニング分析を行うことで、

4社の位置取りと、業績推移を視覚的に捉え、業績の良い銘柄を明らかにします。

対象となるのは、2551 マルサンアイ/ 2917 大森屋/ 2926 篠崎屋/ 2931 ユーグレナ、です。

9月決算の食品セクター4社!3年間のポジショニングの動きでわかることは?

ポジショニングマップ上に示した4社の3年間のポジション変化を見ることができれば、他社との相対的な位置関係と、その位置取りの変化、加えて、その変化が業績に対してどのような意味を持つのかが明らかとなり、どの銘柄が投資検討先として適しているのかを、視覚的・直感的に、判断することができるようになります。

今回分析対象とした4社とは?

2551 マルサンアイ/ 2917 大森屋/ 2926 篠崎屋/ 2931 ユーグレナ

各銘柄の特徴は?

2551 マルサンアイ

大豆利用の食品加工メーカー。みそと豆乳が2本柱。みそで業界4位、豆乳2位。開発力に定評

2917 大森屋

加工のり唯一の上場企業。三菱商事、伊藤忠商事に約6割販売し全国営業。総菜向け等直販も

2926 篠崎屋

「三代目茂蔵」名で大豆加工品を中心に企画、販売。小売りに特化し関東圏に出店。無借金経営

2931 ユーグレナ

微細藻ミドリムシを活用した機能性食品、化粧品を販売。バイオジェット燃料の研究開発に注力

(以上、Yahooファイナンスの企業情報、および、各企業のHPより引用)

9月決算の食品セクター4社!3年間の業績をマーケティング分析手法を使って分析した結果は?

9月決算の食品セクター4社を分析する指標は8つ(ROA、ROE、売上高経常利益率、総資産回転率、自己資本比率、売上高成長率、キャッシュフローマージン、フリーキャッシュフロー)です。

8つの指標を選んだ理由については、マーケティング分析手法を応用した株スクリーニングに使用する8つの指標は?で説明していますので、そちらを参考にしてください。

そして、今回の分析対象期間は、2016年度、2017年度、2018年度です。

9月決算の食品セクター4社!その3年間のポジショニングの変化は?

4社の3期分の財務データから8つの指標を算出し、マーケティング分析手法の一つである因子分析を実施。

その因子得点を求め、ポジショニングマップ上に示しました。

は2016年度、は2017年度、は2018年度を示しています。

ポジショニングマップは、横軸の右方向に行けばいくほど、収益性が高く、総合力(ROA)が強いことを示しており、縦軸の上方向へ行けばいくほど、安定性が高いことを示しています。

また、斜め右下方向へ行けばいくほど、総合力(ROE)が強いことを示しています。

そして、中心にあれば、4社全体の中で平均的な業績であることを意味します。

この後、個別の銘柄ごとにポジション変化の状況と、業績変化との関係を見ていきます。

各銘柄のポジショニングに変化は?

2551 マルサンアイ

ポジショニングマップは、右下側エリアに位置し、4社の中で比較的収益性が高く、総合力(ROA)が強いこと、そして、安定性が低めである一方で、総合力(ROE)が強いことを示しています。

2016年度から2017年度、2018年度と、ポジションは右へ移動していますので、年々、収益性はより高くなってきており、総合力もより強くなってきていることを示しています。特に、2018年度は、右下方向へ離れてポジションを取っていますので、総合力(ROE)がより強くなったことを示しています。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20162.9%8.3%2.2%131.5%20.9%2.2%4.9%-1
20173.9%10.3%3.6%105.9%17.5%4.6%5.3%-3.3
20181.8%24.3%1.6%112.2%22.4%3.9%11.2%2.3

指標は、成長性を示す売上高は2016年度、2017年度、2018年度と着実に増加しています。

総合力を示すROAは、2018年度に低下しているのですが、ROEは2017年度の10.3%から24.3%へと大幅に上昇しています。

ROAが低下しているのは、長期借入金が影響していますし、ROEの上昇は、子会社に対する補助金収入があったことから、当期純利益が増加していることが影響しています。

また、収益性を示す経常利益率も2018年度には低下しています。

これは、子会社における減価償却費増加の影響が大きいようです。

一方で、補助金収入と減価償却費の影響で営業キャッシュフローが増加していることから、キャッシュフローマージンは上昇しています。

2018年度決算は、補助金収入と、子会社の減価償却費の影響が出ていますが、減価償却費の前期比増加分の影響を考慮すれば、営業利益は前期より増加しているはずですので、業績的にはポジティブに捉えても良いように思います。

 

2917 大森屋

ポジショニングマップは、2016年度、2017年度ともに左上側エリアに位置し、ほぼ同じポジションになっていますが、2018年度には、右下側エリアに移動していますので、収益性は高く、総合力は強くなりつつあるように見受けられます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20161.5%1.2%1.1%136.1%79.3%1.6%2.0%0.3
20171.7%0.9%1.3%133.8%77.9%0.8%-3.8%-0.4
20183.1%6.3%2.5%123.3%71.1%6.7%5.5%1.5

指標は、成長性を示す売上高が毎年着実に増加しています。

これにより、収益性を示す経常利益率が上昇傾向にあり、総合力を示すROA、ROEも上昇傾向にあります。

2926 篠崎屋

ポジショニングマップは、左下側エリアから右下側エリアへとポジションを移動する動きになっています。このことにより、現在は4社の中で比較的キャッシュを稼ぐ力が強く、成長性が高いことを示しています。

そして、中心より下側に位置していますので、4社の中で比較的安定性が低いという結果です。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

2016-3.6%-6.8%-1.4%257.2%76.0%-8.2%-2.4%-0.1
20174.4%4.3%1.9%233.1%67.8%5.0%6.3%0.3
2018-4.4%-8.5%-1.8%251.5%70.8%-8.1%-2.7%-0.1

指標は、成長性を示す売上高が2016年度に減少していますが、2017年度は増加、そして、2018年度は減少しています。

総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率が、いずれもマイナスになっています。

なかなか安定しない経営状況にあるように見えます。

2931 ユーグレナ

ポジショニングマップは、右上側エリアから左側エリア移動する動きになっており、これは、収益性、総合力ともに悪化していることを示しています。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20166.1%5.2%8.5%71.5%86.3%87.4%8.2%0.8
20176.4%5.4%8.7%73.6%82.9%25.1%1.1%-2
2018-5.0%-7.9%-7.2%69.5%72.7%9.3%-8.2%-5.1

指標は、成長性を示す売上高が、2016年度には大幅に増加していますが、2017年度、2018年度と、その伸びは鈍化しています。

収益性を示す経常利益率、キャッシュフローマージン、総合力を示すROA、ROE、いずれも2018年度にはマイナスに転じています。

決算短信には、直販強化のための積極的な広告宣伝が功を奏さず、経費増加によって利益を圧迫したことが報告されています。

 

9月決算の食品セクター4社!ポジショニング分析から見えてきたことは?

ポジショニング分析では、マップ上の位置と、3年間のポジションの変化を見て、2018年度が中心より右側に位置していれば、今回分析の4社の中で収益性が高く、総合力(ROA)が強いことを示しています。

また、右下側エリアに位置していれば、総合力(ROE)が強いことを示しています。

また、3年間のポジションの変化が、左から右へと移動していれば、収益性や総合力(ROA)が良くなってきていると判断できます。

ポジショニングマップ上で右側に位置している銘柄は?

2551 マルサンアイ、2917 大森屋が該当します。

ポジショニングマップ上で3年間のポジションが左から右へと移動している銘柄は?

2551 マルサンアイが該当します。

ポジショニング分析から見たおススメの銘柄は?

以上、2つの視点両方に該当する銘柄は2551 マルサンアイです。

この銘柄は配当を出しており、決算短信によれば2018年9月期の純資産配当率は2.9%ですので、銀行預金、郵便貯金の利率がほぼゼロに等しい現状を考えれば、業績が良くて、配当金も貰えるこの銘柄は長期投資対象として魅力的ではないでしょうか?

この銘柄をポジショニング分析から見たおススメの銘柄にしたいと思います。

 

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