今回は、2018年9月に決算期を迎え、すでに決算発表を終えた機械セクター5社を対象に、
各企業の決算短信と、過去の有価証券報告書を元に、
3年間の財務データを抽出し、8つの指標を求め、
それらを元にポジショニング分析を行うことで、
5社の位置取りと、業績推移を視覚的に捉え、業績の良い銘柄を明らかにします。
対象となるのは、6277 ホソカワミクロン/ 6284 日精エー・エス・ビー機械/ 6316 丸山製作所/ 6338 タカトリ/ 6466 東亜バルブエンジニアリング、です。
9月決算の機械セクター5社!3年間のポジショニングの動きでわかることは?
ポジショニングマップ上に示した5社の3年間のポジション変化を見ることができれば、他社との相対的な位置関係と、その位置取りの変化、加えて、その変化が業績に対してどのような意味を持つのかが明らかとなり、どの銘柄が投資検討先として適しているのかを、視覚的・直感的に、判断することができるようになります。
今回分析対象とした5社とは?
6277 ホソカワミクロン/ 6284 日精エー・エス・ビー機械/ 6316 丸山製作所/ 6338 タカトリ/ 6466 東亜バルブエンジニアリング
各銘柄の特徴は?
6277 ホソカワミクロン
粉体関連装置で業界首位。欧州強い。プラスチック薄膜製造装置も展開。日清エンジと業務提携
6284 日精エー・エス・ビー機械
PETなどプラスチック容器の成形機メーカー。世界2位級。海外比率9割。インドに生産拠点
6316 丸山製作所
防除機の大手で農家向けが7割占める。刈払機、噴霧機、消防機械、工業用高圧ポンプにも強み
6338 タカトリ
精密切断加工機が主柱。液晶・半導体業界向け製造機器も。祖業のパンスト縫製機械は世界有数
6466 東亜バルブエンジニアリング
バルブ製販とメンテが主軸。PWR(加圧水型)原発向けバルブに強い。キッツと資本業務提携
(以上、Yahooファイナンスの企業情報、および、各企業のHPより引用)
9月決算の機械セクター5社!3年間の業績をマーケティング分析手法を使って分析した結果は?
9月決算の機械セクター5社を分析する指標は8つ(ROA、ROE、売上高経常利益率、総資産回転率、自己資本比率、売上高成長率、キャッシュフローマージン、フリーキャッシュフロー)です。
8つの指標を選んだ理由については、マーケティング分析手法を応用した株スクリーニングに使用する8つの指標は?で説明していますので、そちらを参考にしてください。
そして、今回の分析対象期間は、2016年度、2017年度、2018年度です。
9月決算の機械セクター5社!その3年間のポジショニングの変化は?
5社の3期分の財務データから8つの指標を算出し、マーケティング分析手法の一つである因子分析を実施。
その因子得点を求め、ポジショニングマップ上に示しました。
◆は2016年度、■は2017年度、▲は2018年度を示しています。
ポジショニングマップは、横軸の右方向に行けばいくほど、キャッシュを稼ぐ力が強く、成長性が高いことを示しており、縦軸の上方向へ行けばいくほど、安定性が高いことを示しています。
そして、中心にあれば、5社全体の中で平均的な業績であることを意味します。
この後、個別の銘柄ごとにポジション変化の状況と、業績変化との関係を見ていきます。
各銘柄のポジショニングに変化は?
6277 ホソカワミクロン
ポジショニングマップは、右側エリアに位置し、5社の中で比較的キャッシュ稼ぐ力が強く、成長性が高いこと、そして、安定性は平均的であることを示しています。
最新2018年度のポジションが3年間の中で、一番右側にあることから、業績が良くなっていることがわかります。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2016 | 7.8% | 8.6% | 8.3% | 93.3% | 59.7% | -5.7% | 9.4% | 4.9 |
2017 | 9.2% | 11.4% | 10.5% | 87.1% | 59.6% | 10.9% | 14.7% | 5.8 |
2018 | 10.7% | 11.8% | 11.7% | 91.3% | 59.8% | 14.8% | 9.4% | 4.1 |
指標は、成長性を示す売上高は2015年度に減少していますが、2016年度、2017年度と10%を超える二ケタ台の伸びを示しています。
このことが、総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率において、3年連続の上昇に繋がっています。
安全性を示す自己資本比率は3年間ほぼ横並びで、これが、マップ上の縦軸方向に変化がないことの裏づけとなっています。
確実に業績が良くなって来ていることがわかる数値ですね。
6284 日精エー・エス・ビー機械
ポジショニングマップは、2016年度、2017年度ともに右側エリアに位置していましたが、2018年度決算では、左側エリアへとポジションを移動させています。
これは、この1年間で業績が悪化していることを示しています。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2016 | 12.8% | 13.0% | 16.2% | 79.0% | 60.4% | 0.5% | 9.8% | 0.4 |
2017 | 16.5% | 20.4% | 23.7% | 69.6% | 60.4% | 14.7% | 18.5% | 3.2 |
2018 | 11.1% | 16.5% | 19.0% | 58.4% | 57.1% | -5.0% | -2.6% | -4.3 |
指標は、成長性を示す売上高が2016年度、2017年度と上昇していたのですが、2018年度には減少しています。
このことが、総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率、キャッシュフローマージン、安定性を示す自己資本比率の低下・悪化に影響を及ぼしています。
6316 丸山製作所
ポジショニングマップは、左下側エリアから右下側エリアへとポジションを移動する動きになっています。このことにより、現在は5社の中で比較的キャッシュを稼ぐ力が強く、成長性が高いことを示しています。
そして、中心より下側に位置していますので、5社の中で比較的安定性が低いという結果です。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2016 | 1.3% | 1.6% | 1.3% | 100.7% | 40.6% | -2.5% | 2.2% | -0.7 |
2017 | 3.1% | 5.1% | 2.9% | 106.0% | 45.8% | 3.5% | 10.9% | 2.6 |
2018 | 3.2% | 4.3% | 3.1% | 104.2% | 47.0% | -0.1% | 5.3% | 0.8 |
指標は、成長性を示す売上高が2016年度に減少していますが、2017年度は増加、そして、2018年度はほぼイーブンの結果となっています。
総合力を示すROA、収益性を示す経常利益率、安定性を示す自己資本比率が、それぞれ年々上昇しています。
6338 タカトリ
ポジショニングマップは、右下側エリアから左上側エリア移動する動きになっており、これは、キャッシュを稼ぐ力が弱く、成長性が低く、それぞれなりつつあることを示しています。
また、一方で、安定性は高くなってきていることが言えます。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2016 | 4.1% | 5.7% | 4.2% | 97.9% | 58.2% | 28.5% | 12.6% | 1.2 |
2017 | 4.2% | 6.5% | 4.8% | 87.6% | 61.0% | -9.7% | 14.0% | 1.2 |
2018 | 5.8% | 7.6% | 7.0% | 83.5% | 61.3% | 1.5% | 5.3% | 0.3 |
指標は、成長性を示す売上高が、2015年度に大きな増加となった一方で、2016年度に減少しており、2017年度には増加していますが回復力は鈍くなっています。
このことが、ポジションを右から左へと移動させた要因となっています。
6466 東亜バルブエンジニアリング
ポジショニングマップは、左上側エリアにあり、右上方向へと移動する形になっており、5社の中では、比較的キャッシュを稼ぐ力が弱く、成長性が低いことを示していますが、ポジションが年々右上方向へと移動してきていますので、改善しつつあることがわかります。
また、安定性も年々良くなってきています。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2016 | 2.7% | 3.3% | 3.5% | 78.9% | 65.6% | -7.2% | 0.00% | -0.1 |
2017 | 2.7% | 2.6% | 3.5% | 75.5% | 68.1% | -4.9% | 16.7% | 1.1 |
2018 | 5.4% | 6.4% | 7.2% | 75.2% | 72.1% | 0.0% | -8.3% | -1 |
指標は、成長性を示す売上高が2016年度、2017年度と減少し、2018年度には下げ止まる動きになっています。
一方で、総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率、安定性を示す自己資本比率が年々上昇しています。
以上のことから、不採算案件を整理して、利益の出る案件へとシフトすることで、売上高は減少しても、利益率を改善する取り組みがされているのではないかと考えられます。
9月決算の機械セクター5社!ポジショニング分析から見えてきたことは?
ポジショニング分析では、マップ上の位置と、3年間のポジションの変化を見て、2018年度が中心より右側に位置していれば、今回分析の5社の中でキャッシュを稼ぐ力が強く、成長性が高いことを示しています。
また、3年間のポジションの変化が、左から右へと移動していれば、キャッシュを稼ぐ力が増しており、成長性も高くなってきていると判断できます。
ポジショニングマップ上で右側に位置している銘柄は?
6277 ホソカワミクロン、6316 丸山製作所が該当します。
ポジショニングマップ上で3年間のポジションが左から右へと移動している銘柄は?
6277 ホソカワミクロンが該当します。
ポジショニング分析から見たおススメの銘柄は?
以上、2つの視点両方に該当する銘柄は6277 ホソカワミクロンです。
この銘柄は配当を出しており、決算短信によれば2018年9月期の純資産配当率は2.5%ですので、銀行預金、郵便貯金の利率がほぼゼロに等しい現状を考えれば、業績が良くて、配当金も貰えるこの銘柄は長期投資対象として魅力的ではないでしょうか?
この銘柄をポジショニング分析から見たおススメの銘柄にしたいと思います。
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