今回は、2018年9月に決算期を迎え、すでに決算発表を終えた不動産セクター7社を対象に、
各企業の決算短信と、過去の有価証券報告書を元に、
3年間の財務データを抽出し、8つの指標を求め、
それらを元にポジショニング分析を行うことで、
7社の位置取りと、業績推移を視覚的に捉え、業績の良い銘柄を明らかにします。
対象となるのは、3245 ディア・ライフ/ 3264 アスコット/ 3288 オープンハウス/ 3461 パルマ/ 4809 パラカ/ 8889 アパマンショップHD/ 8944 ランドビジネス、です。
9月決算の不動産セクター7社!3年間のポジショニングの動きでわかることは?
ポジショニングマップ上に示した7社の3年間のポジション変化を見ることができれば、他社との相対的な位置関係と、その位置取りの変化、加えて、その変化が業績に対してどのような意味を持つのかが明らかとなり、結果として、業績の良し悪しと共に、どの銘柄が投資検討先として適しているのかを、視覚的・直感的に、判断することができるようになります。
今回分析対象とした7社とは?
3245 ディア・ライフ/ 3264 アスコット/ 3288 オープンハウス/ 3461 パルマ/ 4809 パラカ/ 8889 アパマンショップHD/ 8944 ランドビジネス
各銘柄の特徴は?
3245 ディア・ライフ
首都圏で投資用マンションを開発、販売。人材派遣やトランクルーム入金管理、滞納保証業も
3264 アスコット
東京都心軸にマンション開発。収益不動産も手掛ける。保険大手・中国平安グループ傘下に
3288 オープンハウス
不動産仲介からスタートした独立系。都内23区、川崎、横浜の狭小地の戸建てに強み、製販一体
3461 パルマ
ディア・ライフ傘下。トランクルームの滞納保証が主力。施設の開発・販売、運営、仲介も行う
4809 パラカ
時間貸し駐車場運営・管理。土地賃借型を中心に、土地自社保有型も展開。地方都市展開に重点
8889 アパマンショップHD
傘下に賃貸斡旋のアパマンショップやPM(賃貸管理、サブリース)会社。大胆な構造改革企図
8944 ランドビジネス
建築からマンション・ビルの販売や賃貸、管理まで手掛ける。不動産投資から賃貸へ重心シフト
(以上、Yahooファイナンスの企業情報より引用)
9月決算の不動産セクター7社!3年間の業績をマーケティング分析手法を使って分析した結果は?
9月決算の不動産セクター7社を分析する指標は8つ(ROA、ROE、売上高経常利益率、総資産回転率、自己資本比率、売上高成長率、キャッシュフローマージン、フリーキャッシュフロー)です。
8つの指標を選んだ理由については、マーケティング分析手法を応用した株スクリーニングに使用する8つの指標は?で説明していますので、そちらを参考にしてください。
そして、今回の分析対象期間は、2016年度、2017年度、2018年度です。
9月決算の不動産セクター7社!その3年間のポジショニングの変化は?
7社の3期分の財務データから8つの指標を算出し、マーケティング分析手法の一つである因子分析を実施。
その因子得点を求め、ポジショニングマップ上に示しました。
◆は2016年度、■は2017年度、▲は2018年度を示しています。
ポジショニングマップは、横軸の右方向に行けばいくほど、収益性が高いことを示しており、縦軸の上方向へ行けばいくほど、効率性が高く、総合力が強いことを示しています。
そして、中心にあれば、7社全体の中で平均的な業績であることを意味します。
この後、個別の銘柄ごとにポジション変化の状況と、業績変化との関係を見ていきます。
各銘柄のポジショニングに変化は?
3245 ディア・ライフ
ポジショニングマップは、右上側エリアに位置し、7社の中で相対的に収益性や効率性が高く、総合力が強いことを示しています。
2016年度から2017年度にかけて左方向へ移動していますが、2018年度には、2016年度より右方向へ移動していますので、この3年間で、収益力はより高まったと言えます。
この後、指標面で検証していきます。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2016 | 11.2% | 20.2% | 14.5% | 77.6% | 38.1% | 38.0% | -25.6% | -2.8 |
2017 | 11.2% | 20.8% | 12.1% | 92.5% | 42.3% | 54.0% | 3.6% | 0.7 |
2018 | 12.7% | 25.4% | 14.1% | 89.9% | 53.3% | 26.0% | 11.7% | 2.1 |
指標は、成長性を示す売上高が毎年、非常に高い伸びを示しています。
総合力を示すROAは10%台、ROEは20%台と高い数値となっており、収益性を示す経常利益率も10%台を維持しています。
業績は好調で、上方修正し過去最高の当期純利益となっていますし、配当も増額しています。
3264 アスコット
ポジショニングマップは、左上側エリアから左下側エリアへ移動する動きになっていますので、7社の中で相対的に収益性と効率性が低く、総合力が弱くなっていることを示しています。
この後、指標面で検証していきます。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2016 | 7.2% | 25.6% | 6.5% | 111.1% | 27.0% | 2.8% | 12.1% | 0.7 |
2017 | 2.5% | 5.5% | 5.4% | 45.2% | 64.6% | 28.3% | -39.8% | -3.2 |
2018 | 1.7% | 3.4% | 4.6% | 37.5% | 40.0% | 39.0% | -141.8% | -14.9 |
指標は、成長性を示す売上高が年々増加し、2017年度、2018年度は大きな伸びとなっています。
総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率が年々低下していますので、売上高の伸びが収益に結びついていない状況にあると言えます。
3288 オープンハウス
ポジショニングマップは、右上側エリアに位置し、7社の中で収益性や効率性が高く、総合力が強いことを示しています。
横方向に大きなポジションの変化ではありませんので、業績面では安定した収益性であることが伺えます。
縦方向では下への動きになっていますので、効率性が低く、総合力が弱くなってきていると考えられます。
この後、指標面で検証していきます。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2016 | 14.2% | 33.7% | 11.8% | 120.7% | 31.1% | 37.9% | 4.0% | 7.1 |
2017 | 14.1% | 33.8% | 11.9% | 118.7% | 32.3% | 23.2% | -0.3% | -2.1 |
2018 | 11.7% | 33.6% | 11.8% | 99.3% | 27.0% | 28.3% | -2.6% | -22.6 |
指標は、成長性を示す売上高が年々大きな伸びを示しています。
ROAと総資産回転率が2018年度に低くなっているため、これが、ポジショニングマップの下方向への動きを裏付ける結果となっています。
しかしながら、総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率は、若干の変動はありますが、安定した数値であると言えます。
2019年9月期の配当を増額する方針であることを発表しています。
3461 パルマ
ポジショニングマップは、2016年度から2017年度にかけて、右上側エリアから左上側エリアへ移動し、2018年度には右上側エリアへ戻る動きになっていますので、現在は、7社の中では相対的に収益性や効率性が高く、総合力も強くなっていることを示しています。
この後、指標面で検証していきます。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2016 | 13.3% | 18.6% | 15.0% | 88.7% | 56.1% | 53.2% | -22.8% | -0.3 |
2017 | 15.1% | 20.4% | 9.0% | 167.5% | 60.2% | 115.8% | 16.4% | 0.4 |
2018 | 10.5% | 18.1% | 12.3% | 85.4% | 53.6% | 11.5% | -10.7% | -0.4 |
指標は、成長性を示す売上高が、年々大きく伸ばしています。
総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率は、変動していますが、二ケタ台を確保しています。
ターゲットのセルフストレージ市場は拡大基調にあるようです。
4809 パラカ
ポジショニングマップは、右下側エリアに位置し、7社の中では相対的に、収益性が高く、効率性は低く、総合力が弱いことを示しています。
また、年々左方向へ移動する動きになっていますので、収益性が弱くなってきていると言えます。
この後、指標面で検証していきます。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2016 | 8.3% | 14.1% | 17.9% | 46.6% | 40.6% | 9.3% | 21.0% | 0.5 |
2017 | 7.9% | 13.4% | 17.3% | 45.8% | 42.2% | 5.6% | 16.8% | 0.1 |
2018 | 6.4% | 15.1% | 14.3% | 44.5% | 43.0% | 7.7% | 15.2% | 0.4 |
指標は、成長性を示す売上高が、年々増加しています。
総合力を示すROA、収益性を示す経常利益率は年々低下していますが、ROEは2018年度に上昇しています。
経常利益率の低下が気になるところではありますが、安定成長の過程にあるように見受けられます。
8889 アパマンショップHD
ポジショニングマップは、左下側エリアに位置し、7社の中では相対的に、収益性と効率性が低く、総合力も弱いことを示しています。
この後、指標面で検証していきます。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2016 | 4.9% | 55.0% | 5.5% | 88.4% | 9.6% | 0.3% | 9.1% | 4.2 |
2017 | 4.6% | 26.1% | 5.0% | 92.2% | 13.6% | 7.7% | 6.6% | 0.3 |
2018 | 2.5% | -20.7% | 2.1% | 117.3% | 12.5% | 3.5% | 1.8% | 11.3 |
指標は、成長性を示す売上高が、年々増加しています。
総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率が、それぞれ低下傾向にあり、ROEは2018年度にマイナスとなっていますので、最終利益が赤字であったことを示しています。
この理由として、先行投資によるコスト増大、見込んでいた営業目的有価証券が売却できなかったこと、保有資産の収益性低下による減損損失発生などを挙げています。
8944 ランドビジネス
ポジショニングマップは、中心より下方向に位置し、7社の中では相対的に、収益性が平均的であることと、効率性が低く、総合力が弱いことを示しています。
この後、指標面で検証していきます。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2016 | 0.7% | 2.1% | 8.4% | 8.8% | 35.3% | 5.3% | 24.7% | -0.7 |
2017 | 1.0% | 2.7% | 11.9% | 8.7% | 35.2% | 1.9% | 29.0% | 1.1 |
2018 | 1.0% | 2.4% | 12.0% | 8.2% | 35.1% | -3.7% | 18.0% | -1.4 |
指標は、成長性を示す売上高が、2016年度、2017年度は増加していますが、2018年度に減少しています。
総合力を示すROA、ROEにはほとんど変化がなく、収益性を示す経常利益率は、上昇から安定基調にあります。
9月決算の不動産セクター7社!ポジショニング分析から見えてきたことは?
ポジショニング分析では、マップ上の位置と、3年間のポジションの変化を見て、2018年度が中心より右側に位置していれば、今回分析の7社の中で収益性が高く、総合力が強いことを示しています。
また、3年間のポジションの変化が、左から右へと移動していれば、収益性は高く、総合力は強くなってきていると判断できます。
ポジショニングマップ上で右側に位置している銘柄は?
3245 ディア・ライフ、3288 オープンハウス、3461 パルマ、4809 パラカ、8944 ランドビジネスが該当します。
ポジショニングマップ上で3年間のポジションが左から右へと移動している銘柄は?
3245 ディア・ライフが、2018年度のポジションが2016年度より右方向にあり、該当します。
ポジショニング分析から見たおススメの銘柄は?
以上、2つの視点両方に該当する銘柄は3245 ディア・ライフです。
この銘柄は、配当が増配となっていますし、株主優待制度もあります。
今回は、3328 BEENOSがポジショニング分析から見たおススメの銘柄になります。
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