9月決算の化学セクター6社!業績が良い銘柄は?(2018)

化学

今回は、2018年9月に決算期を迎え、すでに決算発表を終えた化学セクター6社を対象に、

各企業の決算短信と、過去の有価証券報告書を元に、

3年間の財務データを抽出し、8つの指標を求め、

それらを元にポジショニング分析を行うことで、

6社の位置取りと、業績推移を視覚的に捉え、業績の良い銘柄を明らかにします。

対象となるのは、4033 日東エフシー/ 4124 大阪油化工業/ 4243 ニックス/ 4928 ノエビアホールディングス/ 4958 長谷川香料/ 4997 日本農薬、です。

9月決算の化学セクター6社!3年間のポジショニングの動きでわかることは?

ポジショニングマップ上に示した6社の3年間のポジション変化を見ることができれば、他社との相対的な位置関係と、その位置取りの変化、加えて、その変化が業績に対してどのような意味を持つのかが明らかとなり、結果として、業績の良し悪しと共に、どの銘柄が投資検討先として適しているのかを、視覚的・直感的に、判断することができるようになります。

今回分析対象とした6社とは?

4033 日東エフシー/ 4124 大阪油化工業/ 4243 ニックス/ 4928 ノエビアホールディングス/ 4958 長谷川香料/ 4997 日本農薬

各銘柄の特徴は?

4033 日東エフシー

化成肥料製造の中堅で独立系。グループ傘下に生産子会社多数。不動産賃貸、輸入肥料の商社も

4124 大阪油化工業

混合物から目的物質を分離・精製する精密蒸留が柱。化学等の大手素材メーカーから作業を受託

4243 ニックス

工業用ファスナー、プリント基板収納用ラックなどプラスチック製品展開。自主開発素材を強化

4928 ノエビアホールディングス

小売り向け化粧品と対面販売で高級基礎化粧品展開。傘下の常盤薬品は栄養飲料、アメに強み

4958 長谷川香料

国内香料2位。飲料等食品向けフレーバーが主力。化粧品・トイレタリー向けフレグランスも

4997 日本農薬

農薬専業大手。自社開発品と全農以外の海外販路に特色。医薬品も併営。ADEKAがTOB

(以上、Yahooファイナンスの企業情報より引用)

 

9月決算の化学セクター6社!3年間の業績をマーケティング分析手法を使って分析した結果は?

9月決算の化学セクター6社を分析する指標は8つ(ROA、ROE、売上高経常利益率、総資産回転率、自己資本比率、売上高成長率、キャッシュフローマージン、フリーキャッシュフロー)です。

8つの指標を選んだ理由については、マーケティング分析手法を応用した株スクリーニングに使用する8つの指標は?で説明していますので、そちらを参考にしてください。

そして、今回の分析対象期間は、2016年度、2017年度、2018年度です。

9月決算の化学セクター6社!その3年間のポジショニングの変化は?

6社の3期分の財務データから8つの指標を算出し、マーケティング分析手法の一つである因子分析を実施。

その因子得点を求め、ポジショニングマップ上に示しました。

は2016年度、は2017年度、は2018年度を示しています。

ポジショニングマップは、横軸の右方向に行けばいくほど、収益性が高く、総合力が強いことを示しており、縦軸の上方向へ行けばいくほど、安定性が高いことを示しています。

そして、中心にあれば、6社全体の中で平均的な業績であることを意味します。

この後、個別の銘柄ごとにポジション変化の状況と、業績変化との関係を見ていきます。

各銘柄のポジショニングに変化は?

4033 日東エフシー

ポジショニングマップは、左上側エリアに位置し、6社の中で相対的に収益性が低く、かつ、総合力が弱く、そして、安定性が高いことを示しています。

2016年度から2017年度にかけて、右上方向へ移動していますので、収益性が高く、総合力が強くなったことを示していますが、2018年度には、左下方向へ移動していますので、収益性が低く、総合力が弱くなったことを示しています。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20161.1%1.6%3.1%37.2%90.1%-3.4%10.1%0.1
20174.7%-1.5%12.8%37.1%90.4%-3.0%4.1%2.1
20183.1%2.5%8.3%36.6%90.2%0.3%6.1%5.3

指標は、成長性を示す売上高が2016年度、2017年度と続けて減少し、2018年度には微増となっています。

総合力を示すROAは、2018年度に低下しているのですが、ROEは上昇しています。

収益性を示す経常利益率は、2016年度の一ケタ台から2017年度には二ケタ台へと上昇していますが、2018年度には低下しています。

本業の肥料事業は前期比増収増益となっているのですが、商社事業、不動産賃貸事業で減益となっており、これが経常利益率低下の要因と言えます。

 

4124 大阪油化工業

ポジショニングマップは、右側エリアに位置していますので、6社の中で相対的に収益性が高く、総合力が強いことを示しています。

2016年度から2017年度にかけて左側へ移動し、2018年度には大きく左側へ移動しています。このことから、年々収益性や総合力が弱くなっていることが言えると思います。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

201620.4%23.1%21.0%97.2%74.9%-0.5%21.5%0.0
201718.8%16.2%18.7%100.6%81.4%9.0%29.4%0.3
201810.6%9.0%15.7%67.6%91.2%6.8%9.0%-0.1

指標は、成長性を示す売上高が2016年度に減少しているのですが、2017年度、2018年度は増加しています。

一方で、総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率が、年々低下しています。

特に、ROA、ROEについては、2018年度に大きく数値を下げているのですが、これは、増資を実施したことによるものです。

4243 ニックス

ポジショニングマップは、左下側エリアから右下側エリアへとポジションを移動する動きになっています。このことにより、現在は6社の中で平均的な収益性と、総合力であることを示しています。

2016年度から2017年度にかけて右側へ移動する動きですので、収益性と総合力が改善してきていると言えますが、2018年度には、2017年度より若干左へ移動していますので、その改善の動きが止まっているように見えます。

そして、中心より下側に位置していますので、6社の中で比較的安定性が低いという結果です。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20162.7%3.5%3.2%82.4%60.3%-10.0%2.9%0.0
20177.4%9.6%8.8%83.8%60.3%12.2%4.9%0.1
20187.0%9.1%8.4%83.4%63.4%1.9%8.4%0.2

指標は、成長性を示す売上高が2016年度に減少していますが、2017年度は増加、そして、2018年度は微増となっています。

総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率が、2016年度から2017年度に上昇していますが、2018年度には足踏み状態となっています。

営業利益率は前期比増益となっていますが、経常利益率が下がっている理由は、為替差益、為替差損の影響が大きかったことで、前期は、為替差益が発生し、今期は為替差損が発生しています。

4928 ノエビアホールディングス

ポジショニングマップは、右上側エリアに位置し、6社の中では相対的に収益性、総合力、安定性が良好であることを示しています。

2016年度から2017年度、2018年度へと、年々右側へ移動していますので、収益性が高くなり、総合力が強くなってきていることがわかります。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20168.7%9.2%15.3%57.1%62.2%3.6%11.6%4.6
201711.0%12.3%18.9%58.2%63.2%6.4%14.9%6.7
201814.0%14.1%20.0%69.8%62.6%6.2%8.6%3.8

指標は、成長性を示す売上高が、年々増加しています。

総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率も年々上昇しており、経常利益率は2018年度に20%となり、利益面では過去最高となりました。

配当も増額するとのことですので、業績好調銘柄として今後も、注目していきたいと思います。

 

4958 長谷川香料

ポジショニングマップは、左上側エリアに位置し、6社の中では相対的に収益性が低く、総合力が弱く、安定性が高いことを示しています。

2016年度から2018年度にかけて、そのポジションにはほとんど変化がありません。

業績面における変化が殆どなかったと言えると思います。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20165.1%4.6%10.9%47.2%79.2%0.8%14.0%3.5
20175.6%5.1%12.7%43.7%79.6%0.9%10.1%-4.6
20184.6%4.5%11.1%41.7%79.2%3.7%11.8%2.3

指標は、成長性を示す売上高が、年々増加基調にあります。

総合力を示すROA、ROE、収益性を示す経常利益率は、2016年度から2017年度にかけて上昇していますが、2018年度にはいずれも低下しています。

業績は比較的安定した企業であると言えると思います。

 

4997 日本農薬

ポジショニングマップは、左下側エリアに位置し、6社の中では相対的に収益性が低く、総合力が弱く、安定性が低いことを示しています。

2016年度から2018年度にかけて、そのポジションにはほとんど変化がありません。

業績面における変化が殆どなかったと言えると思います。

この後、指標面で検証していきます。

年度ROAROE経常

利益率

総資産

回転率

自己資本

比率

売上高

成長率

CF

マージン

フリーCF

10億円

20164.4%2.2%7.6%57.0%52.1%-11.1%7.8%3.0
20174.1%3.7%6.0%67.7%52.8%18.6%4.2%2.1
20183.7%4.9%6.0%62.2%56.5%2.0%-1.3%-0.1

指標は、成長性を示す売上高が、2016年度に減少し、2017年度、2018年度は増加しています。

総合力を示すROAは年々低下、ROEは年々上昇、収益性を示す経常利益率は、2016年度から2017年度にかけて低下していますが、2018年度はイーブンとなっています。

次期見通しは、増収減益とのことです。

9月決算の化学セクター6社!ポジショニング分析から見えてきたことは?

ポジショニング分析では、マップ上の位置と、3年間のポジションの変化を見て、2018年度が中心より右側に位置していれば、今回分析の6社の中で収益性が高く、総合力が強いことを示しています。

また、3年間のポジションの変化が、左から右へと移動していれば、収益性は高く、総合力は強くなってきていると判断できます。

ポジショニングマップ上で右側に位置している銘柄は?

4124 大阪油化工業、4928 ノエビアホールディングスが該当します。

ポジショニングマップ上で3年間のポジションが左から右へと移動している銘柄は?

4928 ノエビアホールディングスが該当します。

ポジショニング分析から見たおススメの銘柄は?

以上、2つの視点両方に該当する銘柄は4928 ノエビアホールディングスです。

この銘柄は増収増益を続け、当期最高益となっており、業績好調と言えます。

また配当も増額していますが、決算短信によれば2018年9月期の純資産配当率は11.3%、配当性向78.8%と株主ファーストの企業であるといえます。

ですので、銀行預金、郵便貯金の利率がほぼゼロに等しい現状を考えれば、業績が良くて、配当金も貰えるこの銘柄は長期投資対象として魅力的ではないでしょうか?

この銘柄をポジショニング分析から見たおススメの銘柄にしたいと思います。

 

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