今回は、株主優待に注目し、株価上昇が期待できながら、配当や株主優待もしっかりとゲットできる!そんな欲張りな銘柄を絞り込みたいと思います。
対象となるのは、11月27日に権利確定し、株主優待として「自社製品」を提供している銘柄4社(2769 ヴィレッジヴァンガード/ 2809 キユーピー/ 2830 アヲハタ/ 7501 ティムコ)です。
今回の分析も参考にしながら、検討を進め、11月27日に株主優待の権利が確定する銘柄4社の中から、実際に購入する銘柄を決めていただけたらと思います。
11月権利確定の株主優待銘柄!「自社製品」提供の4社!!3年間のポジショニングの動きでわかることは?
ポジショニングマップ上に示した4社の3年間のポジション変化を見ることができれば、他社との相対的な位置関係と、その位置取りの変化、加えて、その変化が業績に対してどのような意味を持つのか、が明らかとなり、そして、株価の動きとの関係も参考にしながら、投資対象として適切な銘柄を自ら判断することができるようになります。
今回分析対象とした4社とは?
2769 ヴィレッジヴァンガード/ 2809 キユーピー/ 2830 アヲハタ/ 7501 ティムコ
各銘柄の特徴と株主優待の内容は?
2769 ヴィレッジヴァンガード
書籍、CD、雑貨、食品等の複合小売店を展開。飲食事業譲渡しヴィレヴァン業態に専念
株主優待は、ヴィレッジヴァンガード系列の店舗で使えるお買い物券(10,000円相当~)がもらえます。
2809 キユーピー
マヨネーズ、ドレッシングで国内首位。サラダ、総菜を育成中。子会社にジャムのアヲハタ
株主優待は、マヨネーズやドレッシングなどキユーピーの主力商品約1,000円相当の詰合せがもらえます。
2830 アヲハタ
家庭用ジャムシェア約3割。パスタソースや業務用フルーツ加工品も展開。キユーピーの子会社
株主優待は、ジャムやキューピーブランドのパスタソースなどの自社製品1,000円相当がもらえます。
7501 ティムコ
フィッシング用品卸が祖業。自社開発品比率8割以上。アウトドア衣料・用品が主柱に成長
株主優待は、 Foxfire Storeで利用可能な買い物券(20%割引)が1枚~もらえます。
(以上、Yahooファイナンスの企業情報、および、各企業のHPより引用)
11月権利確定の株主優待銘柄!「自社製品」提供の4社!!3年間の業績をマーケティング分析手法を使って分析した結果は?
11月権利確定の株主優待銘柄である「自社製品」提供の4社を分析する指標は8つ(ROA、ROE、売上高経常利益率、総資産回転率、自己資本比率、売上高成長率、キャッシュフローマージン、フリーキャッシュフロー)です。
8つの指標を選んだ理由については、マーケティング分析手法を応用した株スクリーニングに使用する8つの指標は?で説明していますので、そちらを参考にしてください。
そして、今回の分析対象期間は、2015年度、2016年度、2017年度です。
5月決算が、2769 ヴィレッジヴァンガード、その他の銘柄は11月決算となっています。
11月権利確定の株主優待銘柄!「自社製品」提供の4社!!その3年間のポジショニングの変化は?
4社の3期分の財務データから8つの指標を算出し、マーケティング分析手法の一つである因子分析を実施。
その因子得点を求め、ポジショニングマップ上に示しました。
◆は2015年度、■は2016年度、▲は2017年度を示しています。
ポジショニングマップは、横軸の右方向に行けばいくほど、収益性が高く、総合力が強いことを示しており、縦軸の上方向へ行けばいくほど、安定性が高いことを示しています。
この後、個別の銘柄ごとにポジション変化の状況と、業績変化との関係を見ていきます。
各銘柄のポジショニングに変化は?
2769 ヴィレッジヴァンガード
ポジショニングマップは、左下側エリアに位置し、4社の中で比較的収益性が低く、安定性も低いことを示しています。
2015年度から2017年度にかけて、ポジションが左下から右上に移動していますので、収益性が高くなり、総合力も強くなっており、安定性も高くなってきていることを示しています。
株価は、3年間の平均伸び率(CAGR)が-21.5%%と下落しています。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2015 | -1.2% | -43.9% | -0.7% | 161.1% | 26.3% | 1.6% | 4.8% | 1.2 |
2016 | 0.4% | -8.5% | 0.3% | 143.3% | 27.7% | -23.7% | 2.2% | -2.6 |
2017 | 1.3% | 2.9% | 1.0% | 130.1% | 32.9% | -4.2% | 3.5% | 1.5 |
指標は、成長性を示す売上高は2015年度に増加していますが、2016年度に20%を超える減少となり、と2017年度も減少しています。
収益性を示す経常利益率は、2015年度に赤字となっていますが、2016年度は黒字転換し、2017年度には上昇しています。
2016年度にフリーキャッシュフローがマイナスとなっていますので、経営改善に向けた投資をしている可能性があります。
総合力を示すROA、ROEも、年々改善しています。
安定性を示す自己資本比率も年々上昇しています。
これら、収益性を示す経常利益率、総合力を示すROA、ROE、安定性を示す自己資本比率が年々改善、上昇していることが、ポジショニングマップでの左下から右上への動きとなって現れています。
2809 キユーピー
ポジショニングマップは、右側エリアに位置し、4社の中で比較的収益性が高く、総合力が強いことを示しています。
2015年度から2016年度にかけてポジションが右に移動していますので、収益性が高くなり、総合力も強くなっていますが、2017年度には若干左へ移動していますので、収益性が低く、総合力が弱くなっていることがわかります。
縦軸方向は、中心より下の位置にありますので、5社の中で比較的安定性が低いことを示しています。
株価は、3年間の平均伸び率(CAGR)が-1.2%と下落しています。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2015 | 7.3% | 8.3% | 5.0% | 147.4% | 57.1% | -0.7% | 5.1% | -3.1 |
2016 | 8.1% | 8.0% | 5.7% | 143.1% | 55.1% | 0.5% | 8.2% | 13.2 |
2017 | 7.8% | 8.2% | 5.8% | 134.0% | 54.0% | 1.7% | 4.8% | -4.2 |
指標は、成長性を示す売上高が2015年度には減少していますが、2016年度、2017年度は増加しています。
収益性を示す経常利益率は、年々上昇しています。
総合力を示すROA、ROEは7%台から8%台で安定しています。
2830 アヲハタ
ポジショニングマップは、左側エリアから右側エリアへとポジションを移動する動きになっています。2017年度のポジションが右側エリアに位置することで、4社の中で比較的収益性が高く、総合力も強いことを示しています。
また、2015年度から年々右上へとポジションを移動していますので、安定性も高くなっていることを示しています。
株価は、3年間の平均伸び率(CAGR)が+6.4%と上昇しています。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2015 | 2.8% | 32.0% | 2.0% | 138.9% | 62.0% | 15.7% | 3.3% | -0.1 |
2016 | 4.7% | 45.7% | 3.1% | 154.2% | 65.5% | 7.5% | 10.9% | 1.5 |
2017 | 5.4% | 6.0% | 4.0% | 136.1% | 68.6% | -9.6% | 2.5% | -0.3 |
指標は、成長性を示す売上高2015年度、2016年度と上昇していますが、2017年度には減少してます。
収益性を示す経常利益率は、年々上昇しています。
総合力を示すROAは年々上昇しています。
2017年度に売上高が減少した理由として、一般消費者向けの品揃えを強化した一方で、産業用加工品で選択と集中を進めたことが主な要因のようです。
結果として、経常利益率が上昇していますので、この取り組みは奏功していると言えます。
安定性を示す自己資本比率も年々上昇しています。
以上、収益性を示す経常利益率の上昇、総合力を示すROAの上昇、安定性を示す自己資本比率の上昇が、ポジショニングマップの右上への移動となって現れています。
7501 ティムコ
ポジショニングマップは、左上側エリアに位置し、4社の中では比較的収益性が低く、総合力も低くなっており、一方安定性は高いことを示しています。
2015年度から、2017年度にかけて、左へ移動する動きになっていますので、年々収益性は低く、総合力は弱くなっていると言えます。
株価は、3年間の平均伸び率(CAGR)が、-1.7%と下落しています。
年度 | ROA | ROE | 経常 利益率 | 総資産 回転率 | 自己資本 比率 | 売上高 成長率 | CF マージン | フリーCF 10億円 |
2015 | 0.5% | -25.7% | 1.1% | 47.7% | 82.8% | -3.2% | -0.1% | 0.2 |
2016 | -0.2% | -0.5% | -0.4% | 49.2% | 84.6% | -0.3% | -7.1% | -0.1 |
2017 | -0.3% | -0.5% | -0.6% | 49.8% | 83.5% | 1.8% | 6.3% | 0.3 |
指標は、成長性を示す売上高が、2015年度、2016年度に減少していますが、2017年度には増加しています。
収益性を示す経常利益率は、2015年度は黒字でしたが、2016年度、2017年度は赤字となっています。
総合力を示すROA、ROEもマイナスとなっています。
安定性を示す自己資本比率は80%台と高い数値ですが、総資産回転率は40%台と低く、効率性の低さを表しています。
11月権利確定の株主優待銘柄!「自社製品」提供の4社!!そのポジショニング分析から見えてきたことは?
ポジショニング分析では、マップ上の位置と、3年間のポジションの変化を見て、投資対象とするか否かの判断をすることになります。
マップ上では、2017年度が中心より右側に位置していれば、今回分析の4社の中で収益性が高く、総合力が強いことを示しています。
また、3年間のポジションの変化が、左から右へと移動していれば、収益性が高く、総合力も強くなってきていると判断できます。
ポジショニングマップ上で右側に位置している銘柄は?
2809 キユーピー、2830 アヲハタが該当します。
ポジショニングマップ上で3年間のポジションが左から右へと移動している銘柄は?
2830 アヲハタが該当します。
ポジショニング分析から見たおススメの銘柄は?
以上、2つの視点両方に該当する銘柄は、2830 アヲハタでした。
この銘柄をポジショニング分析から見たおススメの銘柄にしたいと思います。
2830 アヲハタ!株主優待の内容は?
そして、銘柄の株主優待情報を調べてみました。
証券 コード | 銘柄名 | 株価(10/5) | 株主優待株数 | 最低取得額(円) | 1株あたり 配当金(円) | 配当利回り | 株主優待(円) | 内容 | 優待 利回り |
2830 | アヲハタ | 2,735円 | 100 | 273,500 | 18 | 0.66% | 1,000 | ジャム、パスタソースなど | 0.37% |
2830 アヲハタの配当利回りは、0.66%、株主優待利回りは、0.37%でした。
現状、銀行預金、郵便貯金の利率がほぼゼロに等しい現状を考えれば、業績が良くて株価上昇期待もあり、しかも、配当金も株主優待も貰える、この銘柄は投資対象として魅力的ではないでしょうか?
この銘柄は11月決算ですので、まだまだ検討する時間はあります。
日々の株価の動きも見ながら、投資対象として検討してみては如何でしょうか?
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